半導体用フォトレジスト大手の東京応化工業(TOK)は、2021年末までに韓国におけるフォトレジスト生産量を2倍以上に増やす計画としているが、その背景には、韓国子会社の売上高および利益が急増していることがあると複数の韓国メディアが報じている。

それらによると、東京応化の韓国合弁会社であるTOK Advanced Materials(出資比率は東京応化90%、Samsung S&T10%)の2020年通期売上高は前年比25.5%増の1724億ウォン、営業利益は同127%増の270億ウォン、純利益も同164%増の240億ウォンになり、これは同韓国法人の業績としては過去最高だという。

親会社である東京応化の連結基準による2020年の売上高は前年比14.4%増の約1176億円、営業利益は同63.3%増の約156億円であるため、成長率で言えば韓国法人の単体の方が高いこととなる。そのため、東京応化の2020年12月期の決算短信にも「アジア地域において半導体用フォトレジストや高密度実装材料の販売が好調に推移」と記載されている。

韓国法人では、東京応化と2012年10月に「フォトレジスト技術の導入」契約を締結した契約条件に基づいて10年間にわたって売上高の3〜8%を技術導入料として東京応化に支払うことになっており、2020年は前年比25%増となる71億4500万ウォンを支払ったという。

すでに同韓国法人は、2020年よりEUVレジストの現地生産を開始しており、これがSamsungの7/5nmロジックデバイス製造で活用されたことが売り上げの増加につながったと考えられている。2021年は、Samsungに加えてSK HynixもDRAM生産にEUVを適用する予定しているため、さらなる売り上げの増加が期待されている。

このほか、韓国の半導体材料メーカーDongjin Semichem(東進セミケム)が、2020年末よりSamsungのDRAM生産ライン向けに液浸ArFフォトレジストの供給を開始したと韓国のet newsが3月26日付けで報じている。

Dongjin Semichemが液浸ArFフォトレジストをSamsungに供給するのは今回が初めてだという。これまで、Dongjin Semichemは主にKrFフォトレジストの供給を主に行っていたが、ASMLから液浸ArF露光装置を購入し、1年半をかけて液浸ArFフォトレジストの開発を成し遂げたという。

これまでSamsungの液浸ArFフォトレジストのサプライチェーンは、そのほとんどが日本企業を中心とした韓国外の企業で構成されていたが、Dongjin Semichemの今回の供給開始により、市場シェアに変化が起こる可能性がでてきた。

なお、Dongjin Semichemは2021年4月中旬より、Samsungの半導体工場がある韓国の華城市にて新工場を稼働させ、KrFフォトレジストならびに液浸ArFフォトレジストの生産量を増やす計画としているほか、EUVレジストやファウンドリ向け液浸ArFレジストの開発も進めているとしている。