市場調査会社の台TrendForceが、2020年のファブレスICメーカーの売上高ランキングトップ10を発表した。トップ10社の2020年売上高合計額は、前年比26.4%増の859億7400万ドルとなったという。

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    2020年のファブレスICメーカー売上高ランキングトップ10 (出所:TrendForce)

2020年初頭、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックは、ファブレスICメーカーの売り上げを大きく減少させると危惧されていた。しかし、ふたを開けてみると、在宅勤務をはじめとするニューノーマルにより、ノートPCやネットワーク関連機器の需要が急増、PCメーカーを中心に、半導体の調達活動が活発化。結果として、ファブレスICメーカー各社もその恩恵から、大きな成長を遂げたとTrendForceでは分析している。

2020年のトップ10ランキングについては、2019年にトップだったBroadcomと2位だったQualcommが2017年以来となる3年ぶりに入れ替わり、Qualcommがトップに返り咲いた以外に、変化はなかった。QualcommがBroadcomを追い抜いた理由についてTrendForceでは、ネットワーク製品の需要増加ならびにApple製品への再採用、そしてHuaweiへの米国の制裁措置により、Huawei以外のスマートフォンメーカーがHuaweiのシェアを奪い、生産量を増加させた結果とみている。

3位NVIDIAは、Mellanoxの買収により、データセンター向け事業を強化。その結果、データセンタ向け事業は前年比121.2%増の64億ドル近くへと売り上げを伸ばした。また、グラフィックスカードのビジネスも好調で、その全社売上高は前年比52.2%増と、上位10社の中で最高値を記録した。

5位のAMDも、ノートPC、デスクトップPC、サーバの各CPU市場で売り上げを伸ばした結果、前年比45%増の約98億ドルと、上位10社中、2番目に高い伸び率を示した。また、米中貿易戦争の影響でXilinxの売上高が前年比5.6%減となったが、最近のXilinxの売上高の四半期ごとの推移を見ると、同社が今後の回復に向けて順調に進んでいることを示しているとTrendForceは指摘している。

なお、TrendForceによると、2021年については、最終製品サプライヤが引き続き部品の調達に積極的に取り組んでいる一方で、ファウンドリの生産能力不足が年間を通じて続くと予想されている。そのため、ファブレスICメーカーがファウンドリの生産能力の割り当てを確保するために製造委託費を増額する必要があるため、半導体価格の見積もり額を引き上げる可能性があり、その結果、ファブレス各社の売上高も史上最高値を更新する可能性があるという。