市場動向調査会社である米Gartnerは、2020年の半導体市場について、前年比7.3%増の4498億ドル(速報値)とし、併せて同年の半導体企業売上高トップ10を発表した。
同社調査担当バイスプレジデントのAndrew Norwood氏は、「2020年初頭、新型コロナウイルス感染症があらゆる最終機器市場に悪影響をもたらすと予想されていたが、実際の影響はかなり微妙なものであった。確かに自動車、産業、および消費者市場の一部は大きな打撃を受けたが、その一方で在宅勤務など新たな生活様式によってPCやサーバ市場が増進。その結果、CPU、NAND、DRAMが大幅に成長した」と市場の動きを説明する。
2020年の半導体企業売上高ランキングトップ10
同社の調査によると2020年の半導体企業売上高ランキングトップ10のトップは2年連続でIntelとなった。2位から4位まではSamsung Electronics、SK Hynix、Micron Technologyのメモリ大手3社が続いているが、ここまでは2019年から変化はない。
5位に入ったのは、5G対応スマートフォン(スマホ)の好調な販売によって業績を伸ばしたQualcommが前年の6位からランクアップ。代わって前年5位だったBroadcomが6位に順位を下げた。
また、同じくスマホ向けSoCが好調であったMediaTekが前年の13位から8位にランクアップ。さらに9位にも前年14位だったキオクシアも、台湾・LITE-ON TechnologyのSSD事業子会社Solid State Storage Technologyの買収効果もありランクアップを果たしたほか、10位も前年16位だったNVIDIAが入ってきた。
市場成長を支えるメモリ分野
2020年の半導体市場でもっとも成長率の高いデバイスカテゴリはメモリで、在宅勤務・学習の増加によるサーバならびにPCの需要増によるところが大きく、メモリ市場は前年比で135億ドルの増加。これは2020年の半導体市場全体の増加分の44%を占める規模だという。
中でもNAND市場は前年比23.9%増の伸び率で全カテゴリ中トップのパフォーマンスを発揮。前年比で102億ドル増となる528億ドルとなった。供給が制限された2020年上半期に価格が急騰したが、2020年下半期に供給過剰状態となり価格下落が進んだが、年間でも価格は2%の下落に留まったところが大きいという。
なお、Gartnerでは、2021年の半導体市場の成長率について同11.6%増との予測を示している。車載向け半導体の需要回復に加え、テレワークによる需要も引き続き続くと見られているほか、ゲーム機や5Gスマホなども好調の見通しだという。