昭和電工の子会社である昭和電工マテリアルズ(元日立化成)は、台湾子会社Showa Denko Semiconductor Materials(Taiwan)(SDSMT)でのCMPスラリならびにプリント配線板用積層材量(プリプレグ)および感光性ソルダレジストの生産能力増強、ならびに韓国子会社のShowa Denko Electronic Materials(Korea)(SDMKR)でのCMPスラリ工場新設をそれぞれ決定したと発表した。

総投資額は約200億円で、そのうちCMPスラリ向けに約110億円を投じるという。SDMKRの新工場は2021年10月からの稼働を予定しているほか、SDSMTでの生産能力増強は2022年1月より、それぞれ予定。SDSMTのプリプレグならびに感光性ソルダレジストの増産は2023年1月からを予定している。

昭和電工マテリアルズのCMPスラリ、中でもセリア系スラリは、独自の砥粒技術により、研磨傷の低減を実現できる点が評価されているという。近年、NANDが2次元から3次元構造へ、またロジックも高密度化・微細化により平坦化研磨層数が増加していることからCMPスラリ市場は成長が見込まれている。

  • CMPスラリ

    昭和電工マテリアルズのCMPスラリ製品 (出所:昭和電工マテリアルズWebサイト)

また、同社のプリント配線板用積層材料は、信頼性、そり特性、平坦性に優れており、半導体パッケージの基板用として使用されているという。特に高い信頼性が必要なデータセンターで使用されるサーバーなどの大型半導体パッケージや、電波変換、ノイズ除去などの機能を統合してスマートフォンなどに搭載される通信モジュール用半導体パッケージに用いられており、今後高い成長が期待されているという。

  • プリプレグ

    プリント配線板用高機能積層材料(プリプレグ) (出所:昭和電工マテリアルズWebサイト)

さらに感光性ソルダレジストは、半導体パッケージ用基板を保護する重要な材料として高い信頼性が求められているが、同社のものは半導体パッケージの中でも、特に高い信頼性が必要なデータセンターで使用されるサーバーや通信機器などで使われる大型半導体パッケージに用いられているという。これまでは日本国内でのみ生産していたが、現地での需要の伸長に応えるため今回、台湾への進出を決めたという。

  • 感光性ソルダレジスト

    感光性ソルダレジスト (出所:昭和電工マテリアルズWebサイト)

DuPontも韓国にCMPスラリ工場を建設

韓国政府は、米DuPontのCMPスラリおよびEUVレジスト工場を国内に誘致することに成功しており、2021年からの生産開始が予定されている。こうした動きを受けた昭和電工は、日本にとどまっていては、DuPontに韓国市場を奪われかねないと判断。韓国内の大手顧客からの要請もありCMPスラリの現地生産を決定した模様である。

なお、昭和電工は、韓国SK財閥の化学メーカーであるSK Materials(SKM)との間で、半導体の製造工程において、窒化膜のエッチングに使われる高純度ガスCH3F(モノフルオロメタン)の製造・販売を行う合弁会社SK Showa Denkoを2017年に設立している。同ガスは、他のガスに比べて高選択比が得られるため、積層化が進んでいる3D NANDでの需要が急増しているという。