米ミネソタ州ミネアポリスに本拠を置く米国資本による米国唯一の専業ファウンドリであるSkyWater Technologyが、PDK(プロセス開発キット)をリリースするとともに90nmプロセスでのMPW(Multi-Project Wafer)シャトルサービスの立ち上げの準備を進めていると発表した。
同社は、米国防総省から「Trusted Foundry」(国家安全保安の観点から軍事用チップを製造委託できる信頼のおけるファウンドリ)の認定を受けており、軍事防衛用を中心にレガシーデバイス専門の200mmウェハ・ファウンドリサービスを提供している。
今回の発表は、2021年の前半に、90nm戦略的耐放射線性(RH90)CMOSデバイスプラットフォームを構築して顧客がIP開発を行うためにMPWサービスの提供を開始するというもの。RH90の設計キットを作成するにあたり米国の軍事用チップ専用設計・測定サービス会社であるTrusted Semiconductor Solutionsと提携、ASIC設計やアセンブリ、テストなどで協力を得ているという。
RH90プロセスは、FD-SOI(完全空乏型SOI)のCMOSプロセスを使い放射線に強い半導体デバイスを製造するプロセスである。SkyWaterは、MIT(マサチューセッツ工科大学)のLincoln Lab(リンカーン研究所)からFD-SOI技術のライセンスを受け、軍事防衛向けだけではなく一般産業向けの製品開発にも提供するという。
RH90のプロセスデザインキットには、放射線に強いセルライブラリやコアのIPブロックを備えている。放射線に強いデジタルライブラリには、ASIC向けのI/OセルやPLL(位相ロックループ)、デュアルポートメモリなどが含まれているという。
なお、米国防総省は、90nmまでの機密性の高い軍事用チップは、主にミネソタ州にあるSkyWaterに、14/12nmまではニューヨーク州にあるGlobalFoundries(アブダビ首長国資本)に、14nm未満は、米国誘致に成功し2021年からアリゾナ州に工場建設を始める予定のTSMC(台湾資本)に製造委託するつもりのようである。