韓国政府通商産業資源部(日本の経済産業省に相当)は11月3日、在韓各国大使や外国商工会議所関係者らを招いて「2020年外国企業の日(Foreign Company Day)記念式典」を開催し、米国の大手化学メーカーDupontの韓国子会社であるDupont Koreaの社長で、親会社のDuPont 電子・イメージング事業部統括代表でもある姜尙澔(カン・サンホ)氏に「銀塔産業勲章」を授与した。授賞理由は「半導体コア材料の国内生産と新規雇用を創出し、国内半導体産業のグローバル競争力の強化に寄与した功労」だという。

  • 外国企業の日

    ソウルで開催された韓国「外国企業の日」記念式典 (出所:韓国産業通商資源部Webサイト)

DuPontは1998年から韓国京畿道天安市に2つの工場を設置し、ディスプレイ向けハイテク素材や半導体回路基板用材料を製造してきたが、2020年の初め、韓国政府および京畿道地方政府の要請で同所の開発・製造施設を拡張してEUVリソグラフィ用フォトレジストとCMPパッドの開発・生産開始へ向けて2800万ドル規模の設備投資を行うことを明らかにしていた。実際に製造を担当するのは、DuPont傘下のRohm & Haas KoreaとRohm & Haas Electronic Materials CMP Koreaである。

EUVリソグラフィ用フォトレジストは、2019年7月に日本が韓国への輸出管理強化の対象素材に指定した7nm以降の微細プロセス製造に必要な素材であるので、韓国国内でも多くの注目を集めた。そのため、半導体素材や装置の国産化を進めたい韓国政府にとって、今回の表彰は象徴的な意義を持つと韓国半導体関係者は見ている。

DuPontはすでにEUVレジストサンプルをSamsungに納入してテスト中と伝えられているが、このままではDuPontにシェアを奪われてしまうため、東京応化工業は、Samsung C&T(サムスン物産)との合弁会社でEUVレジストの製造を進めて対抗しようとしている。Samsung関係者によると、ベルギーにあるimecとの合弁企業からSamsungにEUVレジストを納入しているJSRも韓国内での製造を準備中と2019年末にSamsungに伝えたという。現在、EUVレジストは日本および日系企業がほぼ独占状態にあるが、もはや日本にはEUVレジストを必要とする先進ロジック/DRAM企業が皆無のため、今後は、DuPontの参戦で海外市場でのシェア争いが激しくなる見込みである。