日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、DC/DCスイッチング・レギュレータの新ファミリとして、フェライト・ビーズ補償を内蔵する低ノイズ、低リップル降圧コンバータ「TPS62912/62913」を発表した。

2製品ともに、100Hz~100kHzの周波数に対するノイズが20μVRMS、出力電圧リップルが10μVRMSと低いため、1~複数個の低ドロップアウト・レギュレータ(LDO)を設計から省くことができ、電源設計を簡素化できるとしている。また、最大76%の電力損失の削減、基板面積の36%の節約が可能になるという。

さらに、ほとんどのシステムにすでに含まれるフェライト・ビーズを実質的な高周波数ノイズのフィルタとして使用することで、電源出力電圧リップルを約30dB削減することができるともしている。

このほか、最大100kHzまでの電源除去比65dB、出力電圧誤差1%未満といった特徴により、高精度なシステムの電源レールに求められる厳しい出力電圧精度を維持できるとするほか、無線周波数スプリアスをさらに減衰させるスペクトラム拡散周波数変調を使用でき、外部クロックとの同期が可能なことから、医療用画像処理やレーダーといったアプリケーションに重要な信号対雑音比(SNR)とスプリアスフリー・ダイナミック・レンジ(SFDR)の目標数値の達成が容易になるともしている。

なお、2製品はすでに同社Webサイトから入手可能で、1,000個発注時の単価(参考価格)は、2A品の「TPS62912」が1.06ドル、3A品の「TPS62913」が1.16ドルからとなっているほか、評価モジュール「TPS62912EVM」と「TPS62913EVM」も49ドルで提供中となっている。2製品とも量産開始は2021年第1四半期を予定しているという。