10月20日~23日にかけてオンライン開催されているCPS/IoTの総合展「CEATEC 2020 ONLINE」において、京セラブースでは、車載用途のみならず、さまざまな用途に対応可能な「マルチファンクション型ミリ波レーダー」の紹介などを行っている。
ミリ波レーダーは、自動車の衝突検知用途などに77GHz/79GHzが用いられてきた。同社のマルチファンクション型ミリ波レーダーも、そうした車載用途ならびに自動車インフラ用レーダーとして開発がスタートしたが、現在は車室内のモニタリング用途であったり、産業機器向け予知保全用振動センサ、要介護者の心拍/バイタルセンサといった用途での活用も期待されるようになっている。
その最大の特徴は、1つのミリ波レーダーシステムで、いろいろな用途に対応することができるという点。そのための「マルチファンクション」となるが、これは同社が従来培ってきた携帯基地局事業でのビームフォーミング技術をはじめとする電波制御技術を活用することで、いろいろな方向に高速に電波を切り替えて射出することで、例えば「死角検知(BSD)」と「出庫時衝突検知(CTA)」を同時に実現することができるようになる。
また、材料技術も強みを持っているということで、レーダーの小型化も実現。現行の車載用ミリ波レーダーは66mm×69mm×23mmであったが、それを自社の基板材料、基板設計技術を活用することで、低損失かつ小型化を図ることに成功。体積比では42%減となる48mm×59mm×21mmというコンパクトなものへと進化したという。
さらに、レーダーとして利用可能な周波数としても従来の77GHz/79GHzのみならず、車室内や屋内でも利用可能な60GHzのノウハウも蓄積済みであり、この60GHzレーダーを活用することで、車室内の子供の置き去り検知や機械の振動波形/振動スペクトル分析、寝ている人の心拍や呼吸の検知などを可能としたとしている。
すでに60GHzを用いた実験機も完成済みとのことで、同社の担当者は、「パートナーとして手を挙げてくれる企業があれば、一緒になって、新たな活用を模索していきたい」としている。
こうした新たな利用に向けては、単にレーザー装置のみならず、コンピュータビジョンを中心とするAI技術や、基地局構築で培ってきた5Gを筆頭とする通信技術なども組み合わせたソリューションとしても打ち出していきたいとしており、そうした技術的なノウハウを含め、「それでも現場のことなど、やはり自社では持ちえない情報などがあるので、実用化を目指すうえでは、パートナーと組んで、開発を進めていきたい」と、パートナーと組む必要性を強調。今回のCEATEC 2020 ONLINEに関しても、チャットを介して、来場者との情報交換などを図っていくとしている。そのチャットも、実際の開発者が基本的には会期中は対応してくれる、ということで、実際にこのミリ波レーダーを使って、こうした課題を解決したい、という人にとっては、技術的にそれが可能かどうかなどもやり取りの中で見えてきたりすることが期待できるのは、開発を進めていくうえでのポイントになると思われる。
なお、同社ブースでは先般発表したばかりのコンセプトカー「Moeye」の紹介やAI協働ロボット・システムの紹介なども行われている。