韓国の国立研究機関の1つである韓国標準科学研究院(KRISS)は、韓国企業を対象とした半導体やディスプレイ産業でウェットエッチングや洗浄に用いられるフッ化水素(HF)の純度分析サービスの提供を開始したと発表した。
同研究院は、日本政府が2019年7月に「フッ化ポリイミド」、「レジスト」、「フッ化水素」の3品目に関する輸出管理の厳格化を行ったことを受け、2019年8月より高純度ガス信頼性検証実験室の設置工事を15憶ウォン(約1億4000万円、検査装置を含む)かけて行ってきたが、今回の発表は、それが完成したことを示すものとなる。同研究院では、これを機に半導体用高純度ガス素材に対する品質評価設備を構築し、約20種類の分析サービスのうち、手始めにフッ化水素の品質評価を開始することにしたという。
実際のフッ化水素に対する品質評価は、不純物を測定し純度を決定する方法で行われる模様だ。ガスクロマトグラフ(GC)とフーリエ変換赤外分析(FTIR)を用いた10種の気相不純物分析と、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)による20種以上の金属成分の不純物分析を経て最終的な純度を決定するという。韓国内のフッ化水素メーカー各社はこの分析結果をもとに、自社製品の純度改善などを図っていくことが可能になるとしている。
同研究院のパク・ヒョンミン院長は「今回構築した世界最高水準の測定環境により、関連産業の競争力向上につなげていきたい」とコメントを出している。
なお、半導体・ディスプレイ向け高純度フッ化水素市場は、日本のステラケミファ(HF液体)、森田化学(HF液体)、昭和電工(HFガス)が、世界市場をほぼ独占してきたが、韓国では、大手化学薬品メーカーであるSoulbrain、RAM Technology、SK Materialsなど複数社が国産化に成功したとしており、現在、その生産数量を増やす動きを見せている。こうした動きを踏まえ、韓国では今後、フッ化水素の純度を国家検定の項目とすることで、国内企業のフッ化水素の高純度化を促進し、国を挙げてその純度を保証する体制を構築していくものと見られる。