市場動向調査会社の富士キメラ総研は、リモートワークの推進によるデータ通信量の増加や、AIの普及などに伴い活用が進むとみられる主要半導体デバイス16品目について、市場調査に基づく、2020年の市場規模見込みならびに2025年の市場予測を発表した。

16品目は以下のとおりである。

  • CPU
  • GPU
  • FPGA
  • モバイル機器用アプリケーションプロセッサ(AP)
  • 自動車用SoC・FPGA
  • イーサネットスイッチチップ
  • NAND
  • DRAM
  • MRAM
  • Wi-Fiチップ
  • ミリ波チップ
  • GaN RFデバイス
  • イメージセンサ
  • ToFセンサ
  • IGBTモジュール
  • SiCデバイス

2025年の主要半導体市場規模は43兆円に到達

2020年の主要16品目の半導体市場規模は、新型コロナウイルス感染症の影響による外出制限に伴うリモートワークの推進などを追い風に、半導体デバイスの需要が増加した結果、前年比14.4%増の26兆678億円が見込まれるという。

その後も米中貿易摩擦や日韓貿易摩擦による半導体市場への影響が見受けられるものの、リモートワークの一般化、AIの普及などに伴い、半導体の活用が進むとみられ、2025年にはその市場規模は2019年比88.9%増の43兆470億円に到達するものと同社は予測している。

品目別にみると、DRAMの市場規模がもっとも大きく、次いでNAND、モバイル機器用APと続く。DRAMやNANDは、データセンターの投資が好調であることから継続的に伸長していくとみられる。スマートフォン(スマホ)やスマートグラスなどに搭載されるモバイル機器用APは、5G通信のサービス開始に伴い5G対応スマートフォンの需要が高まっていることや、スマートウォッチやスマートグラスなどへ用途が広がっていることから、2021年以降市場は堅調に拡大していくと予想されるという。

もっとも大きな市場として期待されるDRAMの2020年市場について同社は、前年比19.4%増の8兆円と見込んでいる。CPUの開発遅延などにより投資が緩やかであったデータセンターにおいて、リモートワークの普及によるデータ通信料の増加や代替CPUの登場によって投資が活発化しており、今後も投資が継続していくことが期待されるため、2025年には2019年比94.0%増の13兆円に達すると予測している。

メモリ分野のもう1つの大市場であるNANDの2020年市場規模は前年比34.9%増の6兆8000億円が見込まれると富士キメラでは見込んでいる。また、今後もデータセンターを中心にストレージに対する投資が進むことから、需要は堅調に推移し、2025年には2019年比で3.1倍となる15兆5000億円に達すると予測している。

半導体業界が期待してきた自動車分野の中核の1つ、自動車用SoCの2020年市場は、新型コロナの影響で自動車販売が不振に陥っていることから前年比12.2%減の2030億円となると見込まれているが、今後は自動運転レベルの向上に伴い、1台当たりの搭載個数は増加していくこととなり、需要の増加が期待されることから、2025年には2019年比2.0倍の4659億円に達すると予測している。

スマートフォンへの搭載数拡大のほか、自動車での活用も進むイメージセンサ市場について同社は、2020年が前年比3.0%増の1兆9680億円と見込んでいる。現在、スマートフォンへの搭載数が増加しているが、今後もそのトレンドは継続するほか、自動車でも搭載数が増加していくと予測されるため、市場の拡大が続くことが期待され、2025年には2019年比38.5%増の2兆6460億円に達すると予測している。

そしてセンサ系としては、ToFセンサについて同社は、5Gや画像認識技術の進化に伴い、ARの普及が進むことが期待されており、2020年の市場規模は前年比6.4%増の1055億円と見込んでいる。また、スマホへの搭載は当然ながら、中長期的にはスマートグラスへの搭載も進むことが期待されているため、2025年には2019年比3.2倍増の3143億円と予測している。