SEMI米国本部の市場調査・統計担当ディレクタのClark Tseng氏は、7月20~23日に開催された半導体製造装置材料のバーチャルな展示会「SEMICON West 2020」の併催イベントとして開催したバーチャルシンポジウム「SEMI Market Symposium」にて半導体材料市場の見通しを語った。
回復傾向にあるシリコンウェハ市場
半導体材料の最大市場であるシリコンウェハの出荷面積は、2019年にメモリバブル崩壊のあおりを受け前年比7%減となり、2017年のレベルに戻った。2020年は、というと第2四半期は前四半期比8%増、前年同期比4.5%増と回復傾向にあるという。さまざまなデバイスの需要が増していることに加え、一部の半導体企業が在庫を積み増していることも背景にあるという。
また、ウェハの需給バランスも2017年~2018年は需要が供給に追いつかずウェハ不足を引き起こしたが、2019年には需給バランスが逆転するなど、不安定な状況がこの数年続いていたが、2020年に入ってからは、比較的安定方向に改善が進んでいるという。
半導体材料市場は2021年に550億ドル規模に
前工程および後工程を併せた半導体材料市場全体の規模は2018年に500億ドルを超えて以降、2019年も同レベルを維持、2020年もほぼ横ばいとなる見通しとなっている。従来品の出荷に加えて前工程および後工程ともに先進プロセスからの新材料に対する需要が大きいという。
そのため、2020年は前工程材料市場が前年比1%減となる一方で、後工程材料市場は同1%増となる見込みで、2021年も同6%増の550憶ドルと手堅く成長する見通しをSEMIでは示している。
前工程材料市場は2021年に回復
前工程(ウェハファブ)向け材料市場は、2020年は同1%減としているSEMIだが、2021年はリバウンドで同6%増との見通しを示している。シリコンウェハも、2020年は成長がやや抑制される見通しだが、2021年には出荷面積も売上高も増加する見込みとしており、それに併せてほかの材料も2021年は成長が期待できそうだという。
一方の後工程(パッケージング)向け材料市場は、2020年に同1%増、2021年も同5%増と緩やかな成長が続くとSEMIでは予測している。有機基板は、先進パッケージングへの適用が広がっているため成長が続いていくのは確実とみられるほか、リードフレームは2020年に同5%減となるものの、2021年には同5.3%増とリバウンドする見込みとしている。また、セラミックパッケージなども2020年にマイナス成長となり、2021年に回復する見込みとしている。
半導体材料の最大消費国・地域は台湾
半導体材料市場の規模を国・地域別でみると、2020年は台湾がトップで約22%のシェアを占めるとみられる。2位は韓国と中国がそれぞれ約17%、4位は日本の約15%、以降その他の地域の約12%、米州の約10%、欧州の約8%との見方を示している。2021年も国・地域別シェアの変動はせいぜい1%程度で大きく変動することはないとSEMIは予測している。
製造装置・材料の本格的な成長は2021年に
SEMIでは、2020年の半導体製造装置市場を同5%増、半導体材料市場を前年同等と予測しているが、2021年には装置が2桁、材料が1桁と本格的な成長となるとの見通しを立てている。
確かに過去30年余りの半導体製造装置市場や材料市場の推移を振り返ると、ITバブルやリーマンショック、メモリバブルなどにより乱高下が生じ、そのたびに一喜一憂したこともあったが、長い目で見れば確実に右肩あがりで成長してきた。その市場規模は30年で10倍に拡大しており、今後も成長が期待できると言えるだろう。