先日、米SpaceXが開発した有人宇宙船「Crew Dragon」のシミュレータを紹介したが、今度は宇宙航空研究開発機構(JAXA)から、宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)をテーマにした運用体験ゲームが公開された。HTVを操縦して、国際宇宙ステーション(ISS)を目指すというもので、キミはISSに無事荷物を運ぶことができるか?

  • HTV GO!

    宇宙船運用体験ゲーム「HTV GO!」(ベータ版)が公開

HTVは日本が開発した無人輸送機である。無人機ながら、ISSに結合するため有人機並みの高い信頼性が求められ、開発には様々な困難があったものの、2009年に初号機の打ち上げを実施。以来、一度も失敗することなく、9機連続でISSへの補給ミッションに成功し、現在(2020年7月1日時点)、最終の9号機がISSに係留されているところだ。

今後、ISSからの廃棄物を格納し、大気圏への再突入による焼却処分に成功すれば、HTVのミッションはこれで全て完了となる。HTVの引退後は、現在開発中の後継機「HTV-X」が引き続きISSへの輸送ミッションを担う予定で、さらに将来的には月周回宇宙ステーション「ゲートウェイ」への物資補給まで行う計画だ。

今回公開された「HTV GO!」は、このHTVの輸送ミッションに挑戦できるというもの。HTVの特徴と言えるのは、直接ISSにドッキングするのではなく、一旦直下10mのキャプチャポイントに相対停止してから、ISS側のロボットアームで把持する方法を採用したことだ。HTV GO!もこれを再現し、ゲームは前半のランデブーと後半のキャプチャで構成される。

HTV GO!(PC版)
HTV GO!(スマホ版)

ランデブーは、ISSの下方から、スラスタを噴射しながら、キャプチャポイントに接近していく。3Dゲームではあるものの、操作は2D風になっていて上下左右のみのため、それほど難しくはないだろう。直下500m、250m、100m、30mのところにはチェックポイントがあるので、ここを通過してボーナスポイントをゲットしよう。

画面には、水色で予測軌道が描かれているので、これを参考にしながらスラスタを噴射すると良いだろう。ただ、上に噴射しても真っ直ぐ上昇しないなど、軌道上での動きは直感と少し異なるところがあるため、慣れないうちは戸惑いもあるかもしれない。まずは、スラスタ噴射による予測軌道の変化の動きに慣れて欲しい。

  • HTV GO!

    上に噴射すると、直線ではなく、このように後方に流れる曲線の軌道となる

こうした軌道上での不思議な挙動については、HTV初号機のプレスキットでの説明が分かりやすいので、興味がある人は参照すると良いだろう(P33~34、P83~86)。HTV GO!は、HTVの研究開発員が制作したとのこと。動きの再現性の高さは、本物を良く知る開発者のこだわりかもしれない。

  • HTV GO!

    軌道上では、減速すると追い越し、増速すると追い越される。ちょっと不思議? (C)JAXA

参考:HTV初号機プレスキット

キャプチャポイントで4秒間静止できれば、ランデブーは成功。次は、ロボットアームを操作して、HTVを把持(キャプチャ)しよう。

まずは、ロボットアームの先端を、HTV側面のターゲット(FRGF)に近づける。HTVが少しゆらゆらと動くものの、ここも動き自体は2Dなので、難しくはないだろう。近づいたら画面が切り替わり、ここでターゲットピンを狙うのだが、この画面だけ操作が3Dになるので頑張って欲しい。

  • HTV GO!

    ロボットアームを上下左右に動かし、ターゲットに近づけていく

  • HTV GO!

    ここで視線がアーム側に切り替わる。上下左右に前進・後進が加わる

評価は、ランデブー/キャプチャそれぞれ3項目の結果から計算される。総合得点は100点満点。採点基準はちょっと良く分からないのだが、スラスタの噴射をなるべく抑え、かつピタリと静止すれば100点を狙いやすい印象だ。実際のプレイ動画を添付するので、うまくできない人は参考にして欲しい。

  • HTV GO!

    判断項目はこの6つ。ランデブーの方が操作の難易度は高い

  • HTV GO!

    見事100点になると「伝説のフライトディレクター」の称号が

コツさえ掴めば100点も出せる

コツさえ掴めば、コンスタントに100点を出せるようになるだろう

ゲーマーの性として、今回もタイムアタックにチャレンジ

なお、今回公開されたのはベータ版とのことなので、今後、正式版のリリースも期待できそうだ。個人的には、「フリーフライトモード」の追加をぜひお願いしたいところ。現状は、飛行可能な範囲が制限されているのだが、ISSの周りを自由に飛行して、いろいろなアプローチ方法を試せたら楽しそうだ。