米OmniVisionは、2種類の車載向けイメージセンサを発表した。1つはViewing Camera向けの「OX03C10」、もう1つはDrive Monitoring向けの「OVM9284」である。この2製品に関する記者説明会が6月25日にオンラインで開催されたので、その内容をお届けしたい。
まずはオムニビジョンジャパン代表取締役社長の薄井明英氏により、簡単に会社説明が行われた。過去には2009年や2014年、2019年にも記者説明会を行ってきた同社であるが、その間にも水面下では色々な動きがあり、2019年に現在のOminiVision Groupが形成されたとする(Photo01)。
同社は主に6つの市場エリアに注力しているとしており(Photo02)、またある市場向けの技術をそのまま別の市場に応用するといった具合にテクノロジーのシナジーが期待できる(Photo03)とする。
現在は全世界に開発および営業拠点を置いており、日本にも営業だけでなくR&Dセンターが置かれているそうだ(Photo04)。
ということで以下製品の話を。まずOX03C10はViewing Camera向け(Photo05)である。
サラウンドビューとかリアカメラは米国では義務付けされており、また日本でもドアミラー代わりの電子ミラーが認可になって採用例が増えているが、ニーズとしては現時点でも高級車で2.5MPixel、将来は4MPixel程度が必要とされ、また現在でも120dB、将来は140dB程度のHDR性能が求められる。低照度でのパフォーマンスも必須だ。
この用途に向けて、OX03C10では、パッケージを積層することでチップサイズを減らしたほか(Photo06)、LEDフリッカー(Photo07)や、例えばトンネル出口でダイナミックレンジが足りずに映像が白飛びする現象に対してのソリューションを提供する。
Photo03にもあったが、同社のイメージセンサは4cellタイプのものが利用される。これを利用し、4つのセンサの出力を組み合わせる事で140dBのダイナミックレンジを確保するほか、露光センサを組み合わせる事でLEDフリッカーフリーを実現出来るとする(Photo07,08,09)。
また夜間などの低照度環境に対しても、従来比で20%ほどSN比を改善することで、より明るく表示が可能になるとしている(Photo10,11)。
このあたりのバックエンドをすべて1パッケージで提供する形になっており、車載メーカーなどには使いやすい構成になっているのが判る(Photo12)。今のところサンプル出荷時期などは明らかにされていない。
次がOVM9284。Driver Monitoringとは、要するに自動運転のLevel 2以上になると、ドライバそのものがきちんと注意を払って運転している事を確認する必要があり、そのための手段として画像認識が用いられるので、このためのカメラである(Photo13)。
ここで利用されるのは940nm帯の近赤外線を使ったカメラで、グローバルシャッター式としたのがOVM9284の特徴である(Photo14)。
消費電力が下がるほど、発熱が減ってSN比の改善が出来るため、感度が上がる事になるのが大きな理由とされた。
またサイズに関して言えば、Aピラーの中に埋め込みの方向が現在検討されているため、より小さくかつ消費電力を下げる工夫が必要とされた(Photo15)。
実際にAピラーに埋め込んでのテスト画像はPhoto16のような感じ。顔認識で瞳の位置(というか、ちゃんと目を開いているか、どっちを向いているか、など)からドライバーの状況を判断できると説明された。
Aピラーに埋め込むために、モジュールはほぼ6.5mm角と非常にコンパクトであり、しかもレンズまで含めてまとめて量産できるので、きわめて低価格で実現できるという点も特徴とされる(Photo17)。
バックエンドはそれほど凝った機能は搭載されていないが(Photo18)が、これは顔認識などのシステムが入るのであれば、必要に応じてそのシステムの側で処理を行うから、カメラの側であれこれ工夫する必要はない、という話と思われる(Photo18)。
このOVM9284は現在サンプル出荷中で、2020年第4四半期に量産開始予定となっている。