カスペルスキーは6月18日、事業方針説明及び新製品に関する記者発表会を行った。今回発表された新製品は、「Kaspersky Sandbox」と「Kaspersky Endpoint Detection and Response Optimum(以下Kaspersky EDR Optimum)」の2つで、2020年7月13日よりパートナー企業経由で提供を開始する予定。

  • Kaspersky Sandboxの運用イメージ

「Kaspersky Sandbox」は、同社の法人向けエンドポイントセキュリティ製品「Kaspersky Endpoint Security for Business」が導入されたエンドポイントと連携することで、不審なオブジェクトを自動でサンドボックス解析する。解析の結果、悪意のあるものと判定された場合は、自動でエンドポイントにその情報を展開し、速やかな防御を可能にするという。

また、スクロールやマウスクリックといった、エンドユーザーの操作をサンドボックスで再現することで、解析回避機能を備えた高度なマルウェアに対してもサンドボックス環境であることを判別させず、詳細な解析を実行することが可能であり、最新のモジュールに定期的にアップデートされるため、新たな手法を用いたマルウェアにも対応できるとのこと。

  • Kaspersky EDR Optimumによるインシデント情報の表示

「Kaspersky EDR Optimum」は、「Kaspersky Endpoint Security for Business」と連携し、自動化されたEDR機能を提供する製品。エンドポイントからの情報を収集、根本原因分析を速やかに自動で実行し、サイバー脅威の攻撃経路と脅威の情報を可視化する。そして、プロセスの停止やファイルの削除、隔離などの対応アクションが実行することが可能だという。

また、攻撃を受けた企業内のエンドポイントが他にないか調査することも可能で、企業内に潜む脅威を発見し、被害の拡大防止繋がるとしている。

  • カスペルスキー マーケティングマネージャー 高木信光氏

カスペルスキーマーケティングマネージャーの高木信光氏は「EDRは従来のエンドポイントセキュリティがあってこその活用できる部分がある。未知の驚異や攻撃に対して備え、可能な限り自動化することが重要である」と統合化されたソリューションの重要性を話した。

両製品のライセンス体系および価格については以下のとおりである。

・Kaspersky Sandbox:ライセンス価格は635,000円(新規1年1ライセンス2,540円 新規最低購入数250ライセンス、税別)から。Kaspersky Endpoint Security for Businessの利用、別途サンドボックスを導入する専用のハードウェアが必要。

・Kaspersky EDR Optimum (バンドル):「Kaspersky Endpoint Security for Business Advanced」の機能と「Kaspersky EDR Optimum」の機能をまとめたバンドルライセンス。ライセンス価格は220,200円(新規1年1ライセンス22,020円 新規最低購入数10ライセンス、税別)から

・Kaspersky EDR Optimum (アドオン):「Kaspersky Endpoint Security Business for Select」もしくは「Kaspersky Endpoint Security for Business Advanced」をすでにご利用のお客様向けに「Kaspersky EDR Optimum」の機能を追加できるアドオンライセンスです。ライセンス価格は50,800円(新規1年1ライセンス5,080円 新規最低購入数10ライセンス、税別)から

カスペルスキーの事業戦略

昨今のサイバー脅威の傾向として、ランサムウェアの標的が個人から組織に移行し、攻撃方法が高度化してきている。また、モバイルデバイスへのサイバー攻撃も2019年になってから急増しており、新型コロナウイルスの影響で急増リモートワークを導入したことにより、多くの企業のセキュリティ状態が脆弱になっているという。

このような状況を受け同社は、2020年度の重点施策として、セキュリティ対策の自動化・省力化の推進、クラウドベースのソリューションの推進、脅威インテリジェンスサービスの浸透、パートナー企業とのエコシステム強化、日本市場対応の設備の加速といった内容に取り組むという。2019年の法人向け事業の売上を、2021年には3倍にする目標を掲げている。

  • カスペルスキー 代表取締役社長 藤岡健氏

カスペルスキー代表取締役社長の藤岡健氏は「セイバー脅威が増している現状において、組織のセキュリティ対策について重要なことは、しっかりと自社の状況を知り、サイバー犯罪者の動静を把握すること。当社は今後とも、ビジネスパートナー様とよりよい協業関係を築き、お客様によりきめ細やかな支援をしていきたい」と述べた。