LGがFPDモジュール生産でベトナムに人員を派遣
ベトナムは、新型コロナウイルスの国内における感染拡大を防止するため、3月22日から入国管理を東南アジアでもっとも厳格化し、外国人および在外ベトナム人の入国をすべて禁止した。しかし、韓国LGグループは、韓国での新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ベトナムでスマートフォン(スマホ)およびそのためのディスプレイモジュールのほか、自動車部品、生活家電などの製造を行う必要が生じたため、ベトナム政府より例外的な許可を得てLG Electronics(ベトナムでスマホなどを製造)、LG Display(ベトナムでスマホ用ディスプレイモジュールを製造)、LG Innotek(ベトナムでスマホ用カメラモジュール製造)のエンジニア約250人(協力会社の社員を含む)を3月30日にチャーター機で、ベトナムへ派遣する計画であると韓国の複数のメディアが報じている。また、LGグループは、第2陣としてさらに多くの人員を派遣するべくベトナム政府との交渉を継続して行っているとも報じられている。
ベトナムに到着した後、彼らは14日間にわたって宿泊施設に隔離され、感染していないことが確認された後、本格的な業務に取り掛かる予定だという。
Samsungはベトナムへの第2陣の派遣を計画
一方の韓国のディスプレイメーカーであるSamsung Displayおよび協力会社のエンジニア約180人もベトナム政府からの例外的許可を得て3月28日にチャーター機でベトナムに入国する予定だという。
今回ベトナムに向かうエンジニアは3月13日に韓国からベトナムに出国した第1陣の186人に次ぐ第2陣となる。Samsung Displayの場合、例外的に14日間隔離の適用を受けていない。ただし、同社現地法人近くの隔離施設から、専用のバスで製造現場へ通うことになり、外部との接触は一切ないという。関係者によると、2020年下半期に発売予定の次世代スマホ向けフレキシブルOLEDデイスプレイパネルのモジュール化作業のための改造工事に従事する予定だという。
LGとSamsungの対応が異なるのは、Samsungは製造ラインの改造を行うだけで、現地社員との接触がないが、LGは製造現場で現地社員を指導する必要があるため、濃厚接触対象者となる可能性があるためではないかと、業界関係者は見ている。
また、すでにベトナムに入国したSamsungの第1陣の中には、協力会社として日系企業の社員も含まれているという。関係者によると、彼らには宿舎から外出ができないように監視がつき、製造現場でも現地の社員とは接触しないように隔離された状態で、有機ELモジュールの製造ラインの改造工事を進めることが求められており、息が詰まるような思いの中、作業を行っているという。
なお、Samsungグループは、さらに多数のエンジニアをベトナムに派遣すべく、在越韓国大使館をとおしてベトナム政府と交渉中だという。韓国の2大スマホメーカーならびにそこ子会社である2大ディスプレイメーカーは経済合理性の観点から、スマホやディスプレイモジュールなどの製造をベトナムに移管してきたが、今回のような異常事態は想定外の出来事であり、新製品の発売をスケジュール通りに進めるためには、今後、どのような動きを見せるかが注目される。