米国半導体工業会(SIA)は11月1日(米国時間)、2019年第3四半期の半導体市場が、前年同期比では14.6%減となったものの、前四半期比では8.2%増の1067億ドルとなったことを発表した。
また、9月単月の市場規模は前年同月比14.6%減も、前月比では3.4%増の356億ドルとなり、市場は緩やかに回復している様子が見えてきた。
SIAのプレジデント兼最高経営責任者(CEO)のJohn Neuffer(ジョン・ニューファー)氏は「半導体市場は、今年前半の販売不振を経て、2019年第3四半期に幾分回復した。(メモリバブルによる)昨年の記録的な売り上げからは大きく下回っているが、月間売上高を見れば9月まで3か月連続で増加している。また、9月はすべての主要製品カテゴリで売上増となったほか、すべての地域でも増加となった」と述べている。
2019年9月の半導体市場を地域別に見ると、中国が前月比4.4%増、南北アメリカが同4.3%増、ヨーロッパが同2.9%増、アジア太平洋/その他が同2.4%増、日本が同1.2%増と、いずれもが増加傾向となった(前年同月比では、中国は12.9%減、南北アメリカが30.4%減、ヨーロッパが6.4%減、アジア太平洋/その他が6.9%減、日本が10.0%減)。
半導体も装置も前四半期比でプラス成長を達成
このような前年同期比では2桁のマイナス成長ながら、前四半期比ではゆるやかなプラス成長という傾向は、すべての半導体関連統計でみられる現象である。
韓国の2大メモリメーカーであるSamsung ElectronicsやSK Hynixが先に発表した2019年第3四半期の半導体売上高も同様な傾向を示している。Samsungの半導体事業部門の同四半期売上高は前年同期比29%減であるが、前四半期比9%増だし、SK Hynixも前年同期比では40%減だが、前四半期比では6%増となっている。
また、メモリメーカーではないためメモリバブルの恩恵にあずかれなかった台湾TSMCの2019年第3四半期業績は前年同期比10.7%増、前四半期比21.3%増の94億ドルと、前年同期比、前四半期期比ともに2桁成長を達成している。同社は2020年以降の好況到来に備えて2019年の設備投資額を当初の100~110億ドルから140~150億ドルへ増額することを決めている。
さらに日本半導体装置協会(SEAJ)によると、2019年9月の日本製半導体製造装置売上高は、前年同月比16.8%減となったものの、前月比では10.9%増の1781億3600万円と3カ月連続でプラス成長しているという。一方、国際半導体材料協会(SEMI)米国本部による、北米製半導体製造装置市場も、前年同月比6.0%減の19億5370万ドルとなり、前年同月比のマイナス成長率が6カ月連続で縮小し続けているという(表1参照)。
この点についてSEMI会長のAjit Manocha氏は、「北米半導体製造装置メーカーの9月の業績は、前月比で2.4%減少してはいるが、前年同月比の売上高のマイナス成長率は小さくなってきており、底を打ったことを示している。最近は先端ロジック製品への製造設備投資が増えてきており、成長のチャンスとなっている」とコメントしている。