ルネサス エレクトロニクスは10月8日、同社の32ビットマイコンとして、Arm Cortex-Mシリーズを搭載した「RAファミリ」を新たにラインナップとして追加することを発表した。

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    Renesas RAファミリのパッケージイメージ (提供:ルネサス)

RAはRenesas Advancedの略で、性能に加え、同社が長年培ってきたセキュリティやコネクティビティなどといった組込機器に対する経験やノウハウが詰まった周辺IPと、ユースケースに有用なオープンかつフレキシブルなソフトウェア・パッケージ(Flexible Software Package:FSP)の組み合わせを追求して開発されたとのことで、これを提供することで、同社では組込機器やIoT市場を中心に成長が続く32ビットマイコン市場に対し、従来の「RXファミリ」ならびに「Renesas Synergy」と併せた3本柱の体制で製品を供給していくとする。

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    Cortex-Mについては、Renesas Synergyも採用しているが、そちらはプラットフォームをベースとしたソリューションで、RAはRXと同じくマイコンとしていろいろと使いたい人に向けたソリューションという立ち位置となる (提供:ルネサス)

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    RX、RA、Renesas Synergyそれぞれの立ち位置の違い (提供:ルネサス)

RAファミリが搭載するCortex-Mコアは、現時点で、ワイヤレス機器やリッチアナログ向けにCortex-M23コアを搭載した最大60MHz動作の「RA2シリーズ」、センサやワイヤレス機器向けにCortex-M4コアを搭載した、最大100MHz動作の「RA4シリーズ」、モーター/インバータ制御やワイヤレス機器、HMIなどに向けてCortex-M4コア(最大200MHz動作)と最大2MBのフラッシュメモリなどを搭載した「RA6シリーズ」が第1弾製品として提供されるほか、すでにCortex-M33を搭載して、デュアルコアで各コア200MHz動作が可能な「RA8シリーズ」という上位モデルも後ほど提供することが決定済みだという。

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  • RAファミリのラインナップとその特長 (提供:ルネサス)

また、IoT機器に向けたセキュリティとして、ArmのセキュリティフレームワークであるPSA Certifiedのレベル1認定を受けているほか、PSA仕様に準拠したリファレンス実装ファームウェアであるTrusted Firmware-M(TF-M)APIに対応。さらに、Renesas Synergyでも活用されているNIST CAVP認証取得済みの「Secure Crypto Engine(SCE)」も搭載しており、改ざん検出やサイドチャンネル攻撃に対する備えとしており、高いIoTセキュリティを提供するとしている。

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    独自のセキュリティとなるSCEも搭載 (提供:ルネサス)

ちなみに、FSPはAmazon FreeRTOSをベースしつつ、最適化済みのドライバや、実装が容易な通信ミドルウェア、セキュリティライブラリなどが提供されるほか、Armエコシステムとして提供される各種のミドルウェアやRTOS、セキュリティソリューション、ワイヤレス、プロトコルスタック、各種評価ボードなどにも柔軟に対応することを可能としたソフトウェアパッケージで、こうしたツールを活用することで、導入から量産まで一貫したサポートが可能になると同社では説明しており、2020年前半までにCortex-M23およびCortex-M33コア搭載品向けにThreadX RTOSおよびミドルウェアのサポートが追加される予定だとしている。

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    FSPの概要 (提供:ルネサス)

なお、第1弾として、Cortex-M23コアを搭載した「RA2A1グループ」、Cortex-M4コアを搭載した「RA4M1グループ」、「RA6M1グループ」、「RA6M2グループ」、「RA6M3グループ」の5グループ、32品種が即日提供を開始しており、参考価格は1万個一括購入時で2.5ドル(税別)から、としている。

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    第1弾として提供される5グループの概要 (提供:ルネサス)