日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、ハイブリッド自動車(HEV)および電気自動車(EV)で用いられているシステムの信頼性を向上させることを可能とする高精度な監視/保護機能用モニタリングIC「BQ79606A-Q1」ならびにアナログ出力温度センサ「TMP235-Q1」を発表した。
自動車に対するCO2排出を中心とする環境規制の強化は世界的な動きとなっているが、その実現を支えるのが電動化(エレクトロニクス化)であり、電動化の進展により、燃費の向上やADASの進化などを図ることが可能となっている。
特にEVは化石燃料を使用しないため、走行中に排出されるCO2をゼロにすることができるゼロ・エミッション・ビークル(ZEV)として、世界中で開発競争が激化しているが、中でもバッテリー性能の向上やシステムの低消費電力化によって、いかに走行距離を増やすか、といったユーザーがもっとも気にかける部分は、技術開発の焦点の1つとなっている。
BQ79606A-Q1は、そうしたニーズに応えることを目的に48V~400Vまで最大誤差1%でバッテリー容量を監視することを可能としたモニタリングIC。同製品を16個搭載することで、直列6セルから96セルまで拡張可能な監視回路である、同社のバッテリ管理システム(BMS)リファレンス・デザインもすでに提供されており、これを活用することで、デイジーチェーン構成により最大378セルの12Vおよび48Vリチウムイオンバッテリ・パックに対するモニタリングをすることが可能になるという。
また、参考価格199ドルで評価ボードも提供。こちらは最大64個までスタックして評価を行うことができるとしている。
一方のTMP235-Q1は、パワートレインシステムの温度を高精度で測定することで、車両性能ならびに乗車している人の保護を可能とする温度センサ。-40~+150℃の範囲を±0.5℃(Typ)の精度で計測することが可能で、同製品と同社の絶縁型SiC/IGBTゲート・ドライバ「UCC21710-Q1/UCC21732-Q1」を組み合わせることで、小型かつ高効率なトラクション・インバータ設計を実現できるようになると同社では説明している。
なお、2製品ともにサンプル出荷を開始しており、顧客からの要望に応じて量産に移行することも可能だという。