東芝グループは、4月17日~19日にかけて、千葉県・幕張メッセにて開催されているものづくりエンジニアのための展示会「TECHNO-FRONTIER 2019(テクノフロンティア2019)」において、自社のSiC ショットキーバリアダイオード(SBD)やMOSFETなどを搭載した東芝デバイス&ストレージによる1.6kW、AC-DCサーバ用電源リファレンスボードの展示や、東芝産業機器システムによる磁石レス同期リラクタンスモータのデモ展示などを行っている。

同期リラクタンスモータは高効率なIE3(トップランナー)モータやIPM(Interior Permanent Magnet:磁石埋込式)モータと同様、正弦波電流で駆動可能なモータ。同社では、ロータを鉄心とフラックスバリアのみの構成で、電機子(固定子)はコイルを用いた電磁石とすることで、永久磁石やアルミ導体を用いないで高効率化を実現した。

試作品での計測では、1.5kW出力で効率が91.8%、2.2kW出力では93.1%と、効率クラスIE5相当を実現(自社のIE3モータと比較して効率が3~4%の向上、損失で32~33%の低減)したとするほか、力率も独自のロータ形状を採用することで、IE3モータ並みを実現したとする。

最大のメリットはレアアースを使用しないため、安定生産・供給が可能という部分だが、磁石を用いていないことによるメンテナンス性の向上、そして温度上昇が低いことによるモータそのものの長寿命化といったメリットもあるという。現在は小ロット生産での対応だが、需要次第で大量生産に移行したいとしている。

  • 磁石レス同期リラクタンスモータ

    東芝産業機器システムによる磁石レス同期リラクタンスモータのデモの様子。中身が見えるカットモデルも展示されている (本来は撮影不可であるが、今回は特別に許可を得て撮影)

1Uサイズで80Plus Platinum級の効率を実現した電源

一方の東芝デバイス&ストレージによる1.6kW、AC-DCサーバ用電源リファレンスボードは、80Plus Platinum級の変換効率93%(Vin=230V、100%負荷時)を1Uサイズで実現したもので、同社のMOSFET「DTMOS」の各世代品ならびにSiC SBD、フォトカプラを組み合わせて構成されている。回路情報や設計情報はWeb上で提供されるため設計にかかるリソースの省力化が可能となるほか、提供された情報を編集・加工することでラックマウント型以外のサーバ用電源や、そのほかの産業機器向け電源に適用することも可能だという。

  • 1.6kW、AC-DCサーバ用電源リファレンスボード

    1.6kW、AC-DCサーバ用電源リファレンスボード。丸いシールが貼ってあるデバイスが東芝デバイス&ストレージの製品

このほか、東芝デバイス&ストレージでは開発中のスマートゲートドライバ「TLP5231」の紹介なども行っている。

TLP5231は電流バッファ回路に従来のバイポーラトランジスタではなく、MOSFETを利用できるようにすることで低損失化を可能としたもの。また、異常時に生じる逆起電力に対し、ユーザー側でソフトウェアにより制御をかけることで、緩やかにすると言ったことも可能だという。

同製品について同社では、2019年の秋ごろにエンジニアサンプル品を出荷する予定としている。

  • スマートゲートドライバ評価ボード

    東芝デバイス&ストレージのスマートゲートドライバ評価ボード