アヴネットは、4月10日~12日にかけて東京ビッグサイトにて開催されているIoTならびにM2M業界関係者のための商談展「第8回 IoT/M2M 展【春】」において、FPGAを活用した2種類のROS自動運転ロボットのデモを行っている。
1台目の自律移動ロボットはアヴネットの手によるもので、ROS公式の研究・教育用ロボット組み立てキットであるROBOTIS製の「TurtleBot3 Burger」のシングルボードコンピュータ(SBC)を「Raspberry Pi 3」からZynq搭載の96Boards「Ultra96」に移植したモデル。ArmプロセッサでSLAMとナビゲーションの実行が可能なほか、ロジックでアクセラレーションを図ることが可能となっている。
会場で行われるデモはLiDAR(SLAM)を用いて、障害物を検知して避けて走行するものとなっている。
2台目の自律移動ロボットは京都大学大学院 情報学研究科 高木研究室の学生たちの手によるもの。TurtleBot3ベースに、SBCをDigilentのZynq-7020評価ボード「Zybo Z7-20」に換装したもので、ROS×FPGAを加速化する統合開発プラットフォーム「ZytleBot」と彼らは呼んでいる。
高瀬助教によると、これを使うことでROSのメリットを活かしながらFPGAを導入することが可能になるとのこと。具体的にはCPUでは難しい処理をFPGAにオフロードするといったことが可能となり、自律移動ロボット開発におけるFPGA開発技術の習得を容易化することができるとしている。
実際に開発した大学院生2人に話を聞いたところによると、開発期間は約2か月で、FPGAを中心とした書き換え可能なチップを扱った国際会議「FPT2018」にて開催されたFPGAデザインコンペティションで優勝することができたという。
2人は、1人が自動運転システムの開発を、もう1人が課題である信号の検知(赤信号で止まる、青になったら進む)システムの開発を担当。信号検知は、機械学習のアルゴリズムの1つである「ランダムフォレスト」をフルスクラッチで書き出して、どこをハード化すれば、性能を出せるのかを判断して、実装することで実現したという。
なお、アヴネットブースでは3日間の会期中、2台のロボットによるデモを随時行っていくとしているが、バッテリーの充電の兼ね合いなどもあるため、デモの実施は不定期となるとしている。