米IC Insightsは、2019年に300mmウェハを用いてICを製造するファブの数が世界で新たに9つ稼働を開始し、その総数は121となること。ならびに今後も増加が続き、2023年には138に達するとの調査結果を発表した。
この調査は、ICを試作あるいは量産するファブのみを調査対象としており、非IC製品を製造している300mmファブ(例えば、独Infineon Technologiesのシリコンベースのパワートランジスタファブ)やICの研究開発のためのファブは除外されているほか、巨大ファブのフェーズ(同一工場内の工期の異なる製造ファブを指す。日本では製造棟とも呼ばれている)は、別々にカウントされたものとなっている(例えば、台TSMCのFab14は、7期に分けて工事が行われ、7つの製造棟に分かれ、合計37万枚/月の生産能力を有しているが、この場合は7つとしてカウントされている)。
300mm ICファブの数は、2002年には15ほどであったが、2008年に68となり、IC製造に用いられる300mmウェハの総面積が200mmウェハの総面積を超えた。以来、300mmファブが半導体業界の主流になっており、2018年末時点で、世界中で112の300mm ICファブが稼働している。
2018年には、7つの300mm ICファブが新たに稼働開始したが、2019年にはそれよりも多い9つの300mm ICファブが稼動を開始する予定で、そのうち5つは中国に設置されている。年間で9つの300mmファブが稼動するのは、2007年の12ファブに次いで2番目に大きな増加である。また、2020年には6つのファブが稼動する予定で、2019年と2020年に誕生する新しいファブはいずれもメモリ(DRAMやNAND)製造用あるいはファウンドリに属している。
このように半導体産業の成長とともに300mm ICファブの数は増加してきたが、2013年のみ減少に転じた。これは、同年、DRAMメーカーだった台ProMOSが経営難で2つの300mmファブを閉鎖したためである。結局、ファブの買い手は見つからず、1000台を超える300mmの半導体製造装置はすべて米GLOBALFOUNDRIESに売却された。
なお、2023年末までに、300mm ICファブの総数は138にまで増加するものと予測される。ちなみに、2018年末時点で稼働している200mm ICファブ数は150であったが、その最盛期、200mm ICファブは世界中に210ほど存在していた。