デンソーは1月24日、2018年4月に開設した東京での高度運転支援技術や自動運転技術、コネクテッド領域の技術などの研究開発拠点「Global R&D Tokyo」に関する説明会を開催。同拠点を開設した狙いや、自動運転の実現に向けた考え方などについての紹介を行ったほか、EPS(電動パワーステアリングシステム)を用いた自動運転向けHILSシミュレーションや、自動運転車や乗員に何かあった際の対応を行う自動運転センターの仮想評価環境を公開した。

同社は2030年に向けた長期方針として、「地球にやさしく、すべての人が安心と幸せを感じられるモビリティ社会の実現に向け、新たな価値を創造し続ける企業」を目指す姿として掲げているが、その実現に向け「電動化」、「自動運転」、「コネクテッド」、「非自動車分野(FA/農業)」の4つを重点開発分野として位置づけ研究開発を進めている。

Global R&D Tokyoは、この中の1つ、「自動運転」を中心に活動を行う拠点として2018年4月に設立されたもので、ITとモビリティの融合によって、交通事故の低減や渋滞の緩和、高齢者の移動支援、物流におけるドライバー不足の解消といった社会課題の解決に向けたモビリティシステムの実現を目指しているという。

  • Global R&D Tokyo

    Global R&D Tokyo設立の狙い

また、同社では2020年6月に羽田空港跡地第1ゾーンに、テスト路を備えた試験車両の開発棟とオフィスを開設予定であるとしており、同社常務役員の隈部肇氏は、「東京エリアで試験車両を作って、そのまま公道実証に行けることを狙っている。拠点としては東京五輪の開催前までには何とか立ち上げたい」と語る。

  • 自動運転車

    東京における自動運転車開発の流れ。第2弾として、実車両の開発拠点を2020年に羽田に設置する計画

自社ハードウェアを搭載したHILSシミュレータ

公開されたHILSシミュレータは、自動運転のさまざまなシーンでの判断そのものの評価に加え、自社のEPSが自動運転時に、どのような挙動を行っているか、といったものを評価することを役割として開発されたもの。

  • HILSシミュレータ
  • HILSシミュレータ
  • 自社のEPSを搭載し、自動運転車の走行時における挙動解析などを行うHILSシミュレータ (画像提供:デンソー)

自動運転シミュレータ自体は、別のPCでも処理が行われており、さまざまな天候状態や、歩行者への親和性の高い挙動(例えば水溜りの水はね)など、一般道におけるさまざまな状況をクリア(グリーン)、要判断(イエロー)、NG(レッド)の色分けで振り分け、さらなる判断が必要とする条件を中心に、HILSシミュレータによる評価などが行われるという。

シミュレーション要件は膨大だが、現状は1システムで一晩500件ほどの処理件数とのことで、将来的には開発速度の加速に向けて、さらなる大規模演算環境の活用なども検討していくとしている。

一方の自動運転のコントロールセンターは、クラウドと連動し、車両の状況をモニタリングすることで、車両や乗客の安心・安全のサポートを実現する仕組みの構築を目指した取り組み。

  • 自動運転センター

    自動運転のコントロールセンターの仮想評価環境 (画像提供:デンソー)

センターにはオペレータが常駐し、車両がどの程度の速さで走っているのか、車内の状況はどうか、といったことを把握することができる。また、ルート走行時に、監視している中で、先行する車両などが当該ルートに事故などで渋滞や通行止めが発生した場合、当初とは異なるルートをセンター側の監視モニタ上に表示することも可能だという。

デモ公開時は、1人で4台を監視しているとのことで、実際にこうしたサービスが開始されれば、車両数に応じて相応の人員を配置する必要がでてくることとなるが、システムのインテリジェンス化の進展などにより、人員の削減なども図っていけるようになるのでは、としていた。

なお、同社では積極的にシミュレータなどを活用していくことで、今後も研究開発速度の向上と、開発成果の品質向上を図っていきたいとしており、羽田の開発棟/オフィスの設置による実車両での評価との両輪で、来るべきレベル4、そして完全自動運転のレベル5に向け、今後も積極的な体制強化を図っていく模様だ。