STMicroelectronicsの日本法人であるSTマイクロエレクトロニクスは11月14日~16日にかけて神奈川県・パシフィコ横浜にて開催されている最先端の組込技術、IoT技術にフォーカスした総合技術展「ET&IoT Technology 2018」にて、人型ロボットと連携したスマートインダストリ(Smart Industry)ソリューションのデモを公開している。

  • Smart Industryソリューションデモ

    Smart Industryソリューションデモの全体像

これは、アスラテックと協力して開発したSTM32マイコンや光学カメラモジュール、MEMSマイクロミラーとASICを搭載したMicroVision製ピコプロジェクタなど、同社製品を36個搭載した韓国ロボティズの「ROBTIS OP2」ベースの人型ロボットと、ST製品24個を組み合わせることでスマートセンシングを可能とした工場の設備(ライン)を連動させたもの。ロボットがオペレータの顔を認識し起動、オペレータが音声でロボットに作業指示を出すと、設備が稼動し、指示されたとおりにラインでの作業を現場のロボットアームなどを通して実行、もし振動などの異常を検知した場合は、緊急停止を自動で行なうなど、被害を抑制することも可能となっている。

  • STとアスラテックが共同開発した人型ロボット

    STとアスラテックが共同開発した人型ロボット。オペレータから音声による指示を受けて、工場設備(ライン)のコントロールを担当

ロボットの音声認識はAWS経由で行なっており、音声コマンドをAWSへ送信。AWS側で音声認識を行い、実際の作業のためのコマンドをロボットに送り返すと、ロボットから設備のメインコントローラや物体判定用のAIカメラなどに、そのコマンドが送られ、実作業に反映される。

  • 設備側のコントローラ
  • 設備側のAIカメラ
  • 音声指示用のマイクコントローラ
  • 音声指示用のMEMSマイクと設備(ライン)側で用いられているコントローラやAIカメラ。当然、STの製品が活用されている

デモでは、りんごとにんじんを模したブロックをディープインサイト製組み込みディープラーニングフレームワークを搭載したAIカメラで認識して自動的に仕分ける作業が行なわれていたが、中にはブロックが欠けたものも混ぜられており、それについては不良品という判定をして、選り分けることが可能となっていた。

  • デモの様子
  • デモの様子
  • デモの様子
  • デモの様子。AIカメラで流れてくるものを認識、判定し、自動的に仕分けを行なう。中には欠けたブロックも流れており、その際はNG判定を行い、ゴミ箱へと仕分けられる

また、振動を感知するセンサによる自動停止も実施。ロボットに何があったかをオペレータが尋ねると、ロボットが異常な振動を検知したことを確認したことを報告。現場での問題が解決されたことをオペレータが確認した後、作業再開の指示を出すと、ロボットが改めてラインを稼動させるということも見ることができた。

  • 異常を検知して緊急停止した様子

    異常を検知して緊急停止した様子。ロボット側のステータスを示す顔のLEDも赤になっていることが分かる

このほか、同社ブースでは、ArmのTrustZone対応マイコンの紹介や、マイコン開発ボードとLinuxマイコンボードによるクラウドサービス・キットの接続デモといったようなさまざまなIoT関連のデモを見ることができるほか、開発体験コーナーも用意しており、開発体験をした人は同社の開発ボード「Nucleo」と拡張ボード「X-NUCLEO」をセットでもらうことができるキャンペーンも行なっている。ちなみに、開発体験は、7種類の拡張ボードの中から1つを体験する、というものとなっている。