2月1日までの期間で米国カリフォルニア州サンフランシスコにて開催されている国際光工学会(SPIE)主催のコンファレンス「SPIE Photonics West」において、ベルギーimecは、短波長赤外(Short Wave Infrared:SWIR)に対応したハイパースペクトルイメージングカメラを公開した。
同カメラは、Si CMOS技術ベースのスペクトルフィルタとInGaAsのスペクトル域を有するイメージセンサを組み合わせる事で実現したもので、imecによると、食品選別や廃棄物管理、マシンビジョン、精密農業および医療診断などの用途での活用を狙っているという。
これまでの5年間でimecが設計・製作したCMOSベースのハイパースペクトルイメージングフィルタは、400〜1000nmの可視光および近赤外領域の感度を持つシリコンベースのCMOSイメージセンサにモノリシックに集積されていた。しかし、今後の商用マルチおよびハイパースペクトルイメージングの半分以上が、1000-1700nmのSWIR領域のスペクトルデータを必要とすることが予想されることから、今回の開発に至ったという。
「SWIR領域は、ハイパースペクトル・イメージングにとって重要である。なぜなら、食品、植物、ヒトの組織、医薬品などの有機物や無機物の水分、脂肪、タンパク質含有に関する重要な定性的情報、そして、プラスチック、紙、木材、およびほかの材料を識別する情報を提供してくれるからだ」とimecのハイパースペクトル・イメージングのプログラム・マネージャーであるAndy Lambrechts氏はコメントしている。
また、imecのイメージング事業開発マネージャーであるJerome Baron氏は、「InGaAsイメージャ業界は転換期にある。SWIR領域ハイパースペクトルイメージングカメラは、 従来の軍事、リモートセンシング、科学的なニッチ分野に加えて、さまざまな市場での活用が見えてきた。このため、コンパクトかつ堅牢で低コストのSWIRハイパースペクトルカメラを開発する絶好の時機を迎えている。imecの目的は、食品の選別、廃棄物管理とリサイクル、マシンビジョン、精密農業、医療診断など、この技術を価格に敏感な市場へ提供することを目指した実用化開発を進めることにある」と述べている。