日本半導体製造装置協会(SEAJ)は1月11日、2017年度(2018年3月期)の日本製半導体製造装置販売高(海外拠点を含む日系企業の日本国内および海外での販売額)および2017年~2019年度(毎年3月期)の半導体製造装置の需要予測を発表した。 

それによると2017年度の日本製半導体製造装置販売高は、大手ロジックメーカーと3D NAND向けを中心としたメモリメーカーの大型投資により、前年度比26.0%増の1兆9702億円となる見通しだという。また、2018年度も DRAM向けに拡大するメモリメーカーの投資持続を見込み、堅調に推移するとして同10.0%増の2兆1672億円、2019 年度も引き続き中国投資や装置需要の広がりを期待して同2.0%増の2兆2105億円と予測している。

  • 日本製半導体製造装置の販売額と前年度比成長率の過去の実績と今後の予測

    日本製半導体製造装置の販売額と前年度比成長率の過去の実績と今後の予測 (出所:SEAJ、2018年1月)

また、半導体製造装置(製造企業の所在地は不問)の日本国内市場における販売高について、2017年度は、3D NANDやDRAM、イメージセンサ向けの投資を見込む中で、投資額の積み増しがあり、同48.6%増の7501億円と予測している。2018年度もそれぞれの投資継続を見込み、同10.0%増の8251億円、2019年度も装置需要の広がりを期待し、同2.0%増の8417億円と予測している。

  • 日系および外資系半導体製造装置メーカーの日本国内市場での売上高の過去の実績および今後の予測

    日系および外資系半導体製造装置メーカーの日本国内市場での売上高の過去の実績および今後の予測 (出所:SEAJ、2018年1月)

これらの予測の背景について、SEAJでは、「IMFの10月発表によると、2017年の世界経済成長率は、2016年実績を0.4ポイント上回る3.6%増と、2016年半ばに始まった世界経済の循環的上昇局面が力強さを増しており、来年以降も、2018年が3.7%増、2019年が3.7%増と、好調な見通しとなっている」と世界的に景気が上向きであることをあげているほか、半導体消費を牽引するアプリケーションとして、従来のスマートフォンに加えて、新たにサーバ、ストレージ分野が注目され、中でもメモリ搭載量の増大でDRAM、NANDともに需要に対して供給不足であり、SSDを皮切りに3D NANDの搭載比率が急速に高まることが期待されるともしている。

さらに今後は、産業機器や自動車、IoT関連分野の成長が期待され、自動運転、AIといったビッグデータや遅延のない高速処理の要求から、エッジコンピューティングやサーバ需要が拡大し、メモリや先端ロジックの需要増加につながっていくことが期待されている。

なお、2017年度の日本製半導体製造装置売上高は、前年比26%増という、半導体そのものの成長率を上回る高成長率となる見込みであるが、実は1年前、SEAJは同3.4%増という予測をしていた。それを7月に同11.0%増へ上方修正したが、実態はさらに大きく伸びており、うれしい誤算となりそうである。これについて、「人間に欲望がある限り半導体技術は発展し、半導体業界は不滅である」との持論をかねてから展開してきたSEAJの辻村理事長は「未来は予測不能ともいえる不確実な時代になってきたということであり、確実に言えることは, "未来は不確実"ということだけだ」と釈明している。