大量生産・大量消費の時代から多品種少量生産、あるいは長く使い続けられる高品質・高性能の製品が求められるようになってきた現代。それをかたちづくる材料や素材にも多様性やこれまで以上の性能が求められており、いかにスピーディーに、いかに目的に合う材料・素材を開発・発見できるかは、企業にとって重大な問題だ。最近では、材料開発にCAE(Computer Aided Engineering)でのシミュレーションを用いる企業も増えてきた。そうしたシミュレーション・ソフトウェアのひとつとして注目を集めているのがGeoDict(ジオディクト)だ。本稿では、その機能や特長、効果といった情報に加え、特徴である画像処理機能の高速化と昨今では大きな企業課題となっているサイバーセキュリティ対策を鑑みた上で最適なワークステーションはどういうものなのだろうか。
材料開発に適した、サブミクロン・スケールの素材を扱える
GeoDict(ジオディクト)は、欧州最大の応用研究機関フラウンホーファー研究機構から独立したMath2Market GmbH社(ドイツ)の開発による、研究開発向け材料開発シミュレーション・ソフトウェアだ。日本では、幅広いITサービスを提供するSCSK株式会社(以下、SCSK)が販売とサポートを10年以上行っている。
そもそもシミュレーション・ソフトウェアを利用することで、どのようなメリットを得られるのだろうか。
理想的な材料を開発するためには、素材の形状や密度など、様々な要素を少しずつ変えながら実験を繰り返し、どの組み合わせなら自分たちの求める値に届くのかを探っていく必要がある。特に開発の初期段階では、膨大なパターンで実験をしなければならず、パターンが増えれば実験の時間がかかり、素材が高価であれば、それに伴うコストも増大する。しかし実験や検証をコンピュータ上でシミュレーションすれば、実際に行うよりも短時間、低コストでの開発が可能になる。
シミュレーションによる開発という考え方自体は新しいものではないが、GeoDictには、これまでのシミュレーション・ソフト ウェアにはなかった特長を持っている。
GeoDictの特徴は、扱えるもののスケールにある。従来のシミュレーション技術は、自動車の車体のように大きなものを対象にして風洞実験や流体解析を行ったり、逆に第一原理計算と呼ばれるような原子・分子レベルの実験を行ったりするものだったが、GeoDictはその中間、ミクロ・スケール(およそナノメートルからミリメートルのスケール)でのシミュレーションが可能だ。
ミクロ・スケールで扱えるものを具体的に列挙すると、繊維複合材(ガラス/カーボン繊維強化プラスチックなど)、不織布やフェルト、リチウムイオン二次電池や燃料電池の構成材(GDL、MPL、CLなど)、DPFやセラミック(焼結材など)から、岩石など、実に様々だ。
こうした材料をCAEで扱おうとすれば、エンジニアが3DモデルをCADで作成する必要があるが、これは困難を要する作業だ。しかしGeoDictでは材料構造の幾何形状を簡単に生成し、様々な材料特性をシミュレーションすることができる。パラメータの入力と乱数により、様々な仮想材料の構造を生成できるほか、現実の材料をマイクロCTや集束イオンビーム装置(FIB)と操作電子顕微鏡(SEM)で撮影した連続画像から、3D構造を再構築する機能があるため、実物をそのまま再現したモデルを得ることが可能だ。
2025年には、一部制限があるものの2D画像から3Dモデルを作成する機能も実装されたため、従来よりも手軽にモデル作成が可能となった。
ワンパッケージで構造生成から分析・評価まで対応可能
構造生成だけではない。GeoDictには熱・電気伝導、圧力損失、機械的特性、細孔径分布、拡散、透過率といった多様な特性予測・構造分析機能もワンパッケージになっており、生成したモデルをそのまま評価に回すことができる。従来のようにCADデータを評価・分析ソフト用に変換したり、機能別にソフトウェアをいくつも立ち上げて作業したり、複数のソフトウェアの操作を習得する必要がない。
シミュレーションは、必ずしも実験に置き換わるものではないが、実験の前段階に利用することで、素材やパラメータの因果関係を把握できるようになり、実験のパターン数を絞ることが可能となる。その結果、GeoDictを使用することで実験に要する時間を削減し、作業の効率化へと繋がっていく。
GeoDictを活用できる領域
現在、製造業を中心に数多くの企業にGeoDictを導入されており、導入企業数は毎年増加傾向である。これまではEV車の需要が高まりによる二次電池や燃料電池の材料開発をターゲットとしてGeoDictのユーザーを増やしてきたが、2025年現在ではEV車の需要が落ち着き始めつつあり、新たな領域、用途の開拓にも注力し始めている。
CCS(Carbon dioxide Capture and Storage:二酸化炭素の回収・貯留)や、CCUS(CCS +Utilization:有効利用)に加え、ヘルスケア領域の事例も増やしていきたいところだ。
また、学術機関におけるGeoDictの認知度向上を目的として、大学をはじめとする学術機関に対してもサービス展開を注力していく予定だ。
生産性向上を支える、HPワークステーションとセキュリティ機能
各種製造業での活用が考えられるGeoDictだが、SCSKが推奨稼働機種としておすすめするワークステーションのひとつが、高速かつ安定して稼動させるのに十分なスペックを備えているHP Z8 G5 Workstationだ。GeoDictの稼働検証機としても使用された。
CPUやグラフィック、メモリなどの性能はもちろんだが、注目すべきは安定性である。安定性が高ければ稼働率が上がり、その結果として、生産性も上がる。HP製品の場合、その安定性を生み出しているのがセキュリティ機能である。
日本HP(以下、HP)の特徴的なセキュリティ製品・機能として、大企業および公共機関向けのエンドポイントセキュリティとして提供されているHP Sure Click Enterprise。外部からの攻撃に対し、エンドポイントを守る機能が備わっている。具体的には、メール、チャットアプリ、ブラウザ、USBメモリの実行・読込を、メインのOS上ではなくマイクロ仮想マシン内で行い、マルウェアの混入や異常な振るまいが検知されれば、被害をそのマイクロマシン内に留める仕組みだ。
もうひとつは、HP Sure Recoverという、HPのビジネスPCに搭載されたリカバリー機能だ。万が一、マルウェアやランサムウェアの被害に遭って、社内のPCが一斉にクラッシュした場合でも、それを包括的に復帰させる機能である。
ハードウェアのデータがすべて消去されても、インターネットからOS(Windows 11)を再インストールすることができる。プライベートネットワークやパブリックインターネットに、復旧に使用する独自のカスタムイメージを保存しておけば、単なるOSの再インストールだけではなく、より事前の環境に近い状態に戻すことも可能だ。
今の時代は多層防御が常識となっているが、内部からの攻撃、例えばサプライチェーンに属する他社が納品したプログラムに、時限式のマルウェアが隠れていた場合には、なかなか予防が難しいのが実情。HP Sure Click Enterpriseでリアルタイムにエンドポイントを保護するのにあわせ、既に侵入していたマルウェアによってシステムがダウンした場合にはHP Sure Recoverで復旧するという、二段階でのセキュリティは非常に有効だと考える。仮に何かトラブルが起こっても稼動時間を大きく減らすことなく、生産性を維持できる。
機密事項を多数扱い、厳重なセキュリティ対策が必須な研究・開発部門にとって、HPのセキュリティ製品・機能は安全性を担保してくれるだけでなく、ビジネスに必要なスピード感を損なわないという面でも貢献してくれそうだ。
材料開発においてシミュレーション技術を導入している企業が増えてはいるが、まだまだ未導入の企業も多いのが課題であると感じている。SCSKにはより多くの企業への導入を行うことで日本の製造業をITの力で支えていく役割が期待されている。
[PR]提供:SCSK、日本HP

