「先進運転支援システム(ADAS)」は、さらに高度化が進むとともに応用の幅も広がり、一定の自律レベルを経て、完全自律走行という「究極の目的」に向けて進化します。この自動車分野のメガトレンドが勢いを増し、自動車産業自体だけでなく、当然ながら何が起こっているかによって最終的に大きな影響を受ける消費者からも、さまざまな意見や見解が出されています。

車両ユーザには、人間の介在が必要なく、高い安全性と拡張性を実現しながら、ある地点から別の地点まで移動できる日が来るのを楽しみにしている人もいます。その一方で、ドライブの楽しさが失われるとして、否定的な見解を持つ人もいます。

事実としては、この分野で技術的な進歩が急速なペースで進行していることです。自動車(OEM)メーカーと一次外注先(Tier 1)は独自のノウハウを、コンポーネント・レベルの最先端エレクトロニクス技術で補完しています。ON Semiconductor(オン・セミコンダクター)などの企業は、パワートレインからインフォテインメントまでの大部分の領域において、自動車技術の多くの構成要素に関係しています。オン・セミコンダクターは基本的に半導体デバイス・メーカーですが、絶えず拡充し続けるポートフォリオや車載用エレクトロニクスの深い知識により、複数のコンポーネントを高信頼性のシステム・ソリューションに統合したり組み合わせることによって、一次外注企業とOEM企業の両方を支援することで、迅速かつ効率的に新しいADASを進化させることができます。ADASから高度ADAS、そして完全自動運転車までの道程には、インテリジェントで安全かつ堅牢なシリコン・ソリューションが必要なことは明らかです。

世界は多くの分野で間違いなく変化を続けており、そのほとんどが技術進歩によるものです。ほとんどすべての議論が完全自動車両や無人車両に関するものに集中している自動車セクタほど、これが当てはまる分野は他にありません。一般に、運転に対する意識は変化しており、以前の世代はおおむねドライブを楽しみ、中には自分の車に夢中になっていた人もいました。ところが今日では、単に安全で効率的に移動できればいいと考える人が増えています。

車両の自律性を高めるうえで安全性が重要な要素となります。WHO 2017によれば、毎年125万人が交通事故で死亡し、さらに2000万人から5000万人が負傷したり障害を負ったとされています。アメリカ運輸省の2016年5月以降の数字が示すように、200万件を超える米国の年間交通事故は運転ミスによって引き起こされており、事故の原因は圧倒的に人的ミスによるものです。

技術革新か進化か?

自律走行車に至るまでの道程は、これまでも、そしてこれからも技術革新ではなく止まらない進化の積み重ねです。1980年代からの精力的な研究が勢いを増し、今日では50社の企業が積極的に自律走行車の開発に取り組んでおり、また多数の有意義な大学プロジェクトが技術的限界を広げています。

車両の電化が普及し、パワートレイン、車体、車内、照明、アクティブ・セーフティシステムなどの主要分野で高度な電子回路が使用されています。これらの各システムの開発が継続されている中で、大きなトレンドは個々の機能が結合されて、統合型自律車両に向けたセンシングおよび車載ネットワークが増加していることです。

  • エントリレベルの車両でも重要な電子コンテンツを搭載

    図1:エントリレベルの車両でも重要な電子コンテンツを搭載

今日多くの車両はすでに自律緊急ブレーキ、車線逸脱警告システム、アクティブクルーズ・コントロール、死角監視、自動駐車機能を搭載しています。このようなシステムは、高級車のみに限定されるのではなく、エントリレベルの車両にまで拡大しており、当面はまだ車を運転するドライバに有益な情報を提供します。