JOLEDは12月5日、RGBを印刷により塗り分ける方式を採用した4K対応の21.6型の有機EL(OLED)の出荷を開始したことを発表した。
現在、市場に出回っている有機ELパネルは、基本的に発光層(EL層)の形成に、真空蒸着プロセスを用いているが、この場合、メタルマスクを用いる必要がある。これに対し、今回、同社が採用したRGB印刷法は、大気雰囲気中で画素が必要となる部分にRGBをインクジェットプリントのように塗布して形成するというもの。真空環境の構築不要やメタルマスクの不要化のほか、白色蒸着方式におけるカラーフィルタも不要化できるため、低コスト化、発光効率の向上といった特徴を有する有機ELパネルを製造することができる。
JOLED代表取締役CTO&CQOの田窪米治氏は、「10型以上のニーズに対応できる技術」と印刷法を説明しており、2016年9月の第4.5世代(G4.5)のパイロットライン稼動から1年強で製品出荷に辿りついたことを「順調にきていると考えている」と表現する。
また同氏は、今回の出荷が21.6型という、中型サイズである点について、「(すでに市場が形成されている)小型パネルや大型パネルではなく、(蒸着方式でメタルマスクの関係上)参入しにくい中型の市場をまずはJOLEDの市場として形成していきたい」とするが、技術的には有機ELテレビの適用サイズでる55型以上の大型にも対応可能な技術であるため、当該領域については、パートナーに対して技術を供与する形で技術の普及拡大を図っていくとしており、「印刷方式を有機ELの次のディファクトとすることを目指す」とする。
すでに大型化や次世代に向けた技術開発も進めており、大型化への対応に向け、すでに川幅2000mm以上のワークサイズ、いわゆるG8.5世代の基板を印刷できる設備の原型開発を完了したとするほか、数年先には、別の方向である高精細化による10型程度までの小型パネルニーズにも対応していく計画としている。
なお、21.6型有機ELパネルの出荷先第1号はソニーとしており、医療機器向けディスプレイとして活用される見通しだという。