3Dグラフィックデザインツール「Adobe Dimension CC」

Adobe Dimension CCはグラフィックデザイナー向けの3Dグラフィックデザインツールであり、これまではAdobe Felixという名称でβ版が公開されていた。昨今のグラフィックデザイナーには、自身がデザインしたコンテンツをどのように効果的に大衆に見せるかという力が問われているという。3Dグラフィックはそのための効果的な表現手法のひとつだが、実際に3Dグラフィックデザインを行うのは2Dのデザイナーにとっては敷居が高い。

Adobe Dimension CCを使えば、PhotoshopやIllustratorで作った2Dのグラフィックデザインを、手軽に3Dで見せることができるようになるという。方法は、3Dデザインのアセットに対して、2Dのデザインを貼り付けるだけ。使用する3Dモデルやアセットは、Adobe StockからDimension向けに最適化されたものがダウンロードできる。

背景画像を配置すると、その画像の光源を自動的に判別して、前面の3Dモデルにも同じ光源を適用するといって機能も備えている。これによって、商品を実際にディスプレイした場合の様子をプレビューして見せることができる。

3Dグラフィックデザインを手軽に作れる

クラウドベースの写真編集管理ツール「Adobe Photoshop Lightroom CC」

名称が紛らわしいが、Adobe Photoshop Lightroom CCも今回発表された新ツールである。これは、簡単に言ってしまえば写真編集管理ツールのAdobe Lightroomをクラウドベースにしたものだ。

写真編集環境をクラウド上に構築することによって、デバイスを問わず、どの環境からもシームレスに、写真の編集や整理、現像、共有などが行えるようになっている。昨年のAdobe MAXで「Project Nimbus」として公開されたツールの正式版となる。クラウド経由での利用が前提となるが、フル解像度のRAW画像を直接編集できるなど、高い性能が実現されているという。

基調講演では、デスクトップでの編集結果がiPadやiPhoneに即座に反映される様子や、逆にiPadやiPhoneで編集した結果がデスクトップにも反映される様子などが紹介された。また、Adobe Senseiを活用した強力な検索機能や、デバイスをまたいだ自動プレビュー機能などのデモも披露された。

なお、新しいLightroom CCの公開にともない、従来提供されていたデスクトップ版のLightroom CCは「Lightroom Classic CC」として名称を新たにして提供されることになった。こちらも今回のアップデートで大幅なパフォーマンス向上などが行われており、今後も現役のツールとして活躍していくことになる。

新しいLigntroom CCと、従来のLightroom Classic CC

Lightroom CCはCreative Cloudのコンプリートプランおよびフォトプランに含まれる。また、ストレージ容量の大きいLightroom CCフォトプランも新設された。詳しくはCreative Cloudのプラン表を参照のこと。

アニメーション作成ツール「Adobe Character Animator CC」

Adobe Character Animator CCは、直感的にアニメーションを作成できるツールである。PhotoshopやIllustratorなどで作成したキャラクターを取り込み、Webカメラに向かって演技をすると、その動きをキャプチャしてキャラクターが同じように動く。これを記録してアニメーションが作れるというわけだ。専門的な知識が無くても手軽にアニメーションが作れるという強みがある。

その他のツールも全方位アップデート

新ツールだけでなく、既存のツールも大幅にアップデートされている。特に興味深かったアップデートのひとつは、フォントサービス「Adobe Typekit」の検索機能の強化だ。

これはモバイルアプリ「Adobe Capture」で文書の写真を撮影すると、それに類似したフォントをTypekit内から探し出して提案してくれるというもの。フォントの名称が分からなくても、写真を撮るだけで目的のフォントを見つけることができる。この検索機能はAdobe Senseiを活用して実現しているという。

また、Premiere Proの新機能であるレスポンシブデザイン・モーショングラフィックスコントロールの発表も印象に残った。位置やタイミングなどを設定して、画面の比率や長さに応じて自動的に調整してくれるというもの。Adobe Stockでは、このためのモーショングラフィックステンプレートがダンロードできるとのことだ。

なお、このデモを担当したCreative Cloud EvangelistのJason Levine氏は特徴的なプレゼンテーションで有名な名物キャラクターであり、今回も美声で「Adobe Stockの中のモーショングラフィックテンプレート」と歌い上げて喝采を浴びていた。

Jason Levine氏

上記のほかにも、PhotoshopやIllustratorなどの定番ツールをはじめとして、Cleative Cloudで提供されているクリエイティブツールのほとんどが、今回同時にアップデートされている。ぜひ自分の使っているツールの新機能を試してみるといいだろう。

これだけのCCツールが一挙にアップデート