市場動向調査企業の台湾TrendForceの半導体メモリ市場調査部門DRAMeXchangeは4月25日、3D-NAND型フラッシュメモリの出荷ビット数が、2017年第3四半期に市場の5割を超え、NAND製品の主流になるとの予測を発表した。
3D-NAND量産でトップを走る韓国Samsung Electronicsと米国Micron Technologyの後を追って、ほとんどのNANDサプライヤが、2017年後半に64層以上の3D-NANDの量産を始める見通しだ。しかし、Appleが今秋発売するであろう次世代iPhoneの出荷に向けて搭載する電子部品の在庫を積み増しているほか、SSDベンダからの需要も堅調なために、NANDの供給そのものは2017年を通して不足したままだろうとDRAMeXchangeは見ている。
そのため、3D-NANDサプライヤが生産能力をどのように拡大するかに加えて、各社の製造歩留まり向上ペースや3D-NANDのeMMC、SSD およびそのほかのOEMデバイスへの適用ペースなどがNAND市場動向を読む上で重要な指標となるとDRAMeXchangeは指摘している。さらに、10周年記念モデルとなる次世代iPhoneの売れ行きが、2017年後半のNANDの供給状況に影響を与える重要な指標になるともしている。
SamsungとMicronはすでに3D-NANDが5割超、SK Hynixは72層を準備
Samsungは3D-NAND競争において、いまだにトップの座にある。同社の48層チップはモバイルNAND製品に加えてエンタープライズおよびクライアント向けSSDに広く使われているほか、高性能でコスト効率が良い点を売りにして、さまざまな応用分野でのシェアを急速に拡大している。
同社の生産スケジュールを見ると、韓国・平澤(ピョンテク)の新工場は製造設備の設置を完了し、2017年7月にも64層チップの生産を開始する予定である。
NANDシェア2位の東芝は米Western Digitalとの協業により、48および64層の3D-NANDチップの開発に取り組んできており、目下、64層チップの製品化に重点を置いている。その64層製品のサンプル出荷は早ければ5月末から開始され、今年の下半期中の大量生産が予定されている。
ただし東芝は3D-NANDだけに限れば後れをとっており、MicronがSamsungに次ぐ2番手となっている。そんなMicronは、Samsungと同じく3D-NANDの出荷ビット数が5割を超えており、現在、大手のメモリモジュールメーカーへの32層3D-NANDチップ出荷と自社ブランドSSDの大量出荷により利益を上げるよう状況となっている。
そして韓国SK Hynixは、ごく最近、Samsungの量産品より8層高い72層3D-NAND型フラッシュメモリを発表している。これまでは36層および48層3D-NANDチップを製造していたが、トップに追い付き追い越すことを念頭に、急ピッチで72層チップを開発したようだ。同72層3D-NANDは2017年下半期より量産を開始し、Samsungへの対抗馬として名乗りを挙げようとしている。