パナソニックの第3四半期連結業績は、為替の影響を大きく受けるものとなった。パナソニックは、2016年度からIFRSを適用しているが、これによると、第3四半期(2016年10~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比3%減の1兆8826億円、調整後営業利益は12%減の1076億円、営業利益は5%増の976億円、税引前利益は3%増の974億円、当期純利益は33%増の640億円となった(いずれも非監査)。
通期で前年下回る見通しの意味
売上高では、新規連結となったハスマンがプラス要素となったものの、為替影響でマイナス1100億円。調整後営業利益では為替影響でマイナス120億円となり、先行投資を含む固定費の増加とともに、為替が大きなマイナス要因になっている。
売上高では、為替影響を除くと、1兆9926億円と、実質的には前年同期比3%増の実績。パナソニックの河井英明代表取締役専務は、「為替影響が大きく、減収となったが、為替を除く実質ベースでは、車載電池の伸張などにより増収。ハスマンの新規連結影響のプラスを除いても増収となっている」と説明した。
為替影響を除く実質ベースでは、新規連結による食品流通、車載事業の伸長によるエナジー、オートモーティブのほか、洗濯機などの白物家電が堅調に推移したメジャーアプライアンスが増収を牽引したという。
一方で、パナソニックでは、今回の決算発表にあわせて、2016年度通期の業績見通しを上方修正した。ここでも為替の影響が反映されている。
売上高は10月公表値に比べて1500億円増の7兆3500億円、調整後営業利益は200億円増の3400億円、営業利益は200億円増の2650億円、税引前利益は200億円増の2600億円、当期純利益は100億円増の1300億円とした。
2016年10月時点では、一度、通期見通しの下方修正を発表。このときの下方修正の理由も、「修正額のほとんどが為替によるもの」(河井代表取締役専務)と説明していたが、今回の上方修正も「すべて為替の影響によるもの」(同)と説明。為替の急激な変動が同社の経営に大きく影響していることを示すことになった。
2016年10月時点での想定為替レートは、1ドル100円。今回は円安に振れたことで、1ドル110円に修正したことが影響したという。「1ドルあたり1円動くと、売上高では年間350億円、利益では32億円の変動がある」と、河井代表取締役専務は説明した。
為替の変動は各社の業績にも大きく影響しているのは確かだ。