性格が異なるものまで踏み込む総務省

もっともガイドラインでは、その取り組み状況や進捗などについて定期的にフォローアップを実施するとしている。それゆえ、先のタスクフォースから約1年が経過した10月13日から11月7日にかけて、ICTサービス安心・安全委員会は「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」を実施。発覚した抜け穴を塞ぎ、実質0円の禁止を徹底するための方策について議論を進めていた。

総務省では先のガイドラインなどの成果を確認し、フォローするための「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」を10月より実施していた

だが一方で、その実質0円禁止の徹底に向けた総務省の対応に関して、ユーザー側から疑問を抱く声も出ているようだ。それを象徴しているのが、10月7日に3キャリアが行政指導を受けたケースである。これは主に、特定のユーザー向けに配布された割引クーポンと、他の割引や特典などを組み合わせた場合、実質0円を割り込むケースがあったことから、各社に行政指導がなされたわけだ。

しかしそのクーポンの中には、キャンペーンなど直接的な販売促進のために配布したものではないものがいくつか含まれていた。そうしたケースに対しても規制がかけられてしまうことに、疑問の声が上がっているわけだ。

例えばNTTドコモが「不適正な端末購入補助」として是正を「要請」されたケースの場合、同社のクレジットカード「dカードGOLD」の会員向けに配布されていた「ケータイ購入ご優待券」を用いた端末割引で、一部実質0円を割り込むケースがあったことが問題視されている。しかしながらこのケータイご優待券は、年会費が必要なdカードGOLDの会員の会費を原資とした会員特典として、前身の「DCMX GOLD」の時代から配布されていたもの。キャリアの直接的な割引キャンペーンとは明らかに性格が異なるものだ。

「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」第1回のNTTドコモ公表資料より。「dカードGOLD」会員向けのクーポンを使用した場合、一部に実質0円を割り込むケースがあったとのこと