またKDDIの場合は、販売促進のためダイレクトメールとして配布するクーポンだけでなく、株主優待によるクーポンなども配布しているが、それらを複数枚組み合わせることで、実質0円を割り込むケースが発生することが問題視された。その結果、総務省から「口頭注意」を受け、一部のクーポンを減額したほか、株主優待の内容も変更するなどの対応が迫られている。だがダイレクトメールによるクーポンはともかく、株主優待のクーポンは明らかに販売促進とは性格が異なるものであることから、そうした部分にまで規制が入ることには、やはり疑問を抱く向きがあるようだ。

総務省のこだわりはユーザーのためになっているのか

実質0円販売の撲滅を図りたい総務省は、その手を緩めることなく規制強化に向けてまい進する構えを見せている。だが、2014年頃のキャッシュバック合戦のように、実質0円販売があまりに過熱することには問題があるだろうが、撲滅に向けてまい進することが真にユーザーのためになるかどうかに関しては、疑問を呈する声も少なくない。そもそも総務省の一連の取り組みは、安倍晋三首相の発言にある通り携帯電話料金を引き下げるためにあるはずなのだから、実質0円販売の撲滅が、本当に携帯電話の料金引き下げにつながっているのかどうかを、ユーザー側もしっかり見届ける必要があるだろう。