QualcommがNXP Semiconductorsの買収に向けて協議中だと、先週末以降、米Wall Street Journal、New York Times、英Financial Timesなどの複数のメディアが相次いで伝えている。
交渉は数カ月以内にまとまる見込みだが、合意に至らない可能性もあるという。もしもこの交渉が成立すれば、NXPの時価総額から判断して、買収額は3兆円をはるかに超えて、ソフトバンクのARM買収金額320億ドルを上回る史上最高額となる可能性がある。
NXPは、2015年12月に米Freescale Semiconductorを118億ドルで買収する手続きを完了し、車載半導体に力をいれはじめたばかりであり、この話は信じられないという声も一部の業界関係者から聞かれる。
一方のQualcommは、陰りが見え始めたモバイル向け半導体ビジネスから脱皮して車載やIoTといった今後の成長が見込める分野への転身を図ろうとしており、このほかにも半導体企業の買収を検討しているとのうわさもある。
Qualcommは、長年にわたり、ファブレス世界トップに君臨していたが、今年からBroadcom(Avago TechnologiesがBroadcomを買収し、買収した側の社名に変更)にその座を譲ることが確実な状況になっていた。先ごろ弊誌に掲載された「2016年における半導体産業のM&A総額、5兆円を突破」という記事中で、著者も「さらに大きなM&Aが年内に合意されれば史上最高額の年になる可能性もある」と述べていたが、それが実現する可能性が高まりつつある。
なお、10月3日(日本時間)の時点では、Qualcomm、NXPのいずれからも、これらの報道に対する正式なコメントは出ていない。