テクトロニクスは8月24日、IsoVu光アイソレーション技術(IsoVu技術)を採用した初めての製品「TIVMシリーズ光アイソレーション型差動プローブ」の販売を開始すると発表した。

TIVMシリーズ光アイソレーション型差動プローブ

無線給電や電気自動車、IoTなどに向けた技術開発が進められる中で、GaNやSiC半導体といった高性能パワー半導体の性能向上により、従来のプローブではデバイス上での重要な測定ができなくなっている状況にある。具体的には、高周波数帯域ではフル・ダイナミック・レンジが使用できない、CMRR(同相除去比)が高周波数帯域では低下してしまうといった問題があった。

これに対し、TIVMシリーズ光アイソレーション型差動プローブでは、E/O(電気-光)センサで入力信号を光変調信号に変換することで、被測定対象とオシロスコープを電気的に絶縁するIsoVu技術を採用。同技術の採用により、従来のプローブでは可視化できず、シミュレーションや推定に頼るしかなかった信号の観測が可能となる。周波数帯域1GHz、コモンモード電圧2000V、差動電圧50Vを実現したほか、CMRRは、100MHzまでで120dB(100万:1)、1GHzで80dB(1万:1)であり、従来ソリューションの10万倍向上した。

TIVMシリーズ光アイソレーション型差動プローブの概要 (資料:テクトロニクス)

IsoVuシステムの構成要素 (資料:テクトロニクス)

また、コントローラーとセンサ・ヘッドは5本の光ファイバで接続され、その内1本を通じて電力を供給するため、バッテリ交換や充電の必要がないという特長も持つほか、チップ・ケーブル・コネクタに高性能ながら小型、低価格なMMCXコネクタを採用するなど高い利便性を確保している。また、テクトロニクス製であれば既存のオシロスコープで使用できることもメリットだ。

センサ・ヘッドは5種類のチップが用意されている (資料:テクトロニクス)

MMCX - スクエア・ピン・アダプタも用意 (資料:テクトロニクス)

テクトロニクスは、同製品は高性能パワー半導体開発での計測において、周波数帯域、ダイナミック・レンジ、コモンモード・レンジ、CMRRを全てカバーする唯一のシステムであり、パワー機器のフローティング測定やEMI/ESD試験でのノイズの経路解析などで威力を発揮するとしている。

全周波数帯域で一定レンジを実現 (資料:テクトロニクス)

CMRR性能も大きく向上 (資料:テクトロニクス)

TIVMシリーズ光アイソレーション型差動プローブは計6機種がラインアップされており、それぞれの価格は下図の通り。

TIVMシリーズの価格表 (資料:テクトロニクス)