この日、HPEはクラウド、ストレージなどの分野で新製品を発表した。

クラウドではHPEは2015年にパブリッククラウド事業から撤退を発表しており、現在「Helion」ブランドの下でハイブリッドクラウドを実現する製品を提供している。HPEでエグゼクティブバイスプレジデント兼エンタープライズグループ ゼネラルマネージャを務めるAntonio Neri氏は、「クラウドはそのままでは使えない。現実はハイブリッドであり、企業のアプリケーションはすべて異なる。特定のニーズに合わせ、既存のITインフラとクラウドを組み合わせた”適切なミックス(組み合わせ)”が必要だ」と述べる。HPE Discoverでは適切なミックスをすぐに使えるようにするために、「Helion Cloud Suite」「Helion CloudSystem 10」「Helion Stackato 4.0」などを発表した。

中でも、Helion Cloud Suiteは既存のオンプレミス、クラウドとさまざまな環境で、仮想化、クラウドネイティブ、コンテナなどさまざまなアプリケーションを配信・管理できる新しいスイートとなる。また、Helion Stackatoは2015年夏に買収したPaaS技術、Stackatoの最新版となる。Cloud FoundryをベースにDockerベースのコンテナ技術を統合することで、クラウドネイティブアプリを迅速に構築、実装、配信できる。VMware、OpenStack、Azureなどマルチクラウド環境に対応できる点も強調した。

HPEのAntonio Neri氏

コンポーザブルインフラ関連では、システム管理の最新版「OneView 3.0」を発表した。「HPE ProLiant」「HPE BladeSystem」「HPE 3PAR StoreServ」「HPE Hyper Converged」に加えて、「HPE Synergy」も対象となり、これらのインフラをソフトウェア定義で管理できる。最新版ではグローバルダッシュボードとして、一元的に管理できる画面を導入、「数千ものシステムを一目で把握でき、管理を簡素化する」とストレージ分野を統括するManish Goel氏(ストレージ担当ゼネラルマネージャ)は語った。

グローバルダッシュボードが加わった「OneView 3.0」

HPEは会期中、オールフラッシュアレイの「HPE 3PAR StoreServ」シリーズで7.68TBと15.36TBのNAND SSDのサポートを加えたことも発表している。

新製品はなかったものの、「デジタルトランスフォーメーションの鍵を握る土台技術」(Whitman氏)というセキュリティ分野についても、エグゼクティブバイスプレジデント兼エンタープライズサービス ゼネラルマネージャMike Nefkins氏が説明した。

「攻撃は高度化しており、より強調され、高速になった。かつてのように孤独なハッカーが一人で行うのではなく、潤沢な資金を持つ組織が、収益または機密情報へのアクセスを目的に行っている」とNefkins氏。これに加えて、内部の脅威も増えており、セキュリティを取り巻く状況は複雑になっている。

HPEのMike Nefkins氏

HPEは5000人以上のセキュリティプロフェッショナルを抱えており、世界10箇所にセキュリティオペレーションセンター(SOCs)を抱える。侵入を検出するのに要する時間は11.8分、インシデントの92%は2時間内に解決できる、と胸を張る。

顧客にはMicrosoft、米国防省などがおり、大手ソフトウェアベンダー10社中9社、大手金融機関の多くも顧客という。この日は「HPE Arcsight」「HPE Fortify」などを利用しているというMicrosoftの最高セキュリティ責任者(CISO)、Bret Arsenault氏が登場し、「可能性からみると低いが、インパクトが大きい」というランサムウェアなど、セキュリティトレンドに触れた。

MicrosoftのCISO、Bret Arsenault氏

Whitman氏は最後に、デジタルトランスフォーメーションは「選択肢ではなく、必須」「将来ではなく、いま」と会場に呼びかけた。大きな変化ではなく、小さな変化を重ねて達成するものであり、HPEはそれを支援すると約束した。