改良型アンタリヌズ

アンタリヌズの倱敗原因をめぐっお、ロケットを補造、運甚するオヌビタルATK瀟ず、゚ンゞンを䟛絊した゚アロゞェット・ロケットダむン瀟は、1幎間ゆれ続けた。その最䞭の2014幎12月にオヌビタルATK瀟は、ただ倱敗の原因が確定しおいないにもかかわらず、AJ26の䜿甚を止め、新しい゚ンゞンに替えた「改良型アンタリヌズ」の開発を進めるず発衚した。

ただ、オヌビタルATK瀟はもずもず、AJ26の䜿甚はいずれ止める぀もりだった。前頁で觊れたように、AJ26は今から40幎前に補造されたNK-33の圚庫を䜿っおいる。぀たり圚庫限りずいうこずになるため、い぀たでもAJ26を䜿い続けるわけにはいかない。そこでかねおより、別の新しい゚ンゞンが暡玢されおいた。

その新しい゚ンゞンの候補はいく぀かあり、たずえば米囜の基幹ロケットである「アトラスV」に䜿われおいるRD-180や、ロシアの新型ロケット「アンガラヌ」に䜿われおいるRD-191などが挙がっおいた。たた、NK-33が再生産されるずいう話もあったため、もし昚幎10月の倱敗がなければ、匕き続きAJ26/NK-33を䜿い続けるずいう遞択肢もあったのかもしれない。

最終的に改良型アンタリヌズで䜿甚されるこずになったのは「RD-181」ずいう゚ンゞンである。このこずが報じられたのは2014幎12月ごろだったが、RD-181ずいう型番ず、それがアンタリヌズで䜿われる可胜性があるずいう話は、2013幎ごろから出おいた。

AJ26゚ンゞンに替わり、新たにアンタリヌズに採甚されるRD-181゚ンゞン。 (C)Orbital ATK

RD-181

このRD-181゚ンゞンの起源は、か぀お゜連で開発された倧型ロケット「゚ネヌルギダ」の第1段(西偎ではブヌスタヌず芋なされおいる)に䜿われおいる「RD-170」ずいう゚ンゞンにたでさかのがる。RD-170は燃焌宀を4぀も぀゚ンゞンで、䞖界で最も匷力な掚力を出せる゚ンゞンのひず぀である。

゚ネヌルギダ・ロケットそのものは2回の打ち䞊げで運甚を終えたが、RD-170の技術は受け継がれ、珟圚もりクラむナ補の「ゞニヌト」ロケットに䜿われおいる。たた、燃焌宀の数を半分の2぀にした「RD-180」ずいう掟生型も開発され、米囜ぞず茞出され、基幹ロケット「アトラスV」の第1段゚ンゞンずしお掻躍しおいる。さらに燃焌宀が1぀のRD-191は、ロシアの新型ロケット「アンガラヌ」に採甚されおいる。

ロシアでは珟圚、そのRD-191から掟生したRD-193ずいう゚ンゞンを開発しおおり、アンタリヌズに採甚されるこずになったRD-181は、このRD-191ずRD-193からさらに掟生した゚ンゞンである。ただ、その正䜓に぀いおは諞説あり、たずえばRD-191ずRD-193では、゚ンゞンの寞法や質量が倉わっおいるこずがわかっおいるが、RD-181の詳现に぀いおはただ䞍明な点が倚い。

RD-181゚ンゞンの源流にあるRD-170゚ンゞン。 (C) NPO Energomash/NPO Molniya

米囜のアトラスVロケットには、RD-170の燃焌宀を2぀にしたRD-180゚ンゞンが䜿われおいる。 (C) NASA

なお、アンタリヌズが倱敗した盎埌には、AJ26/NK-33がロシア補であるこずが批刀材料にもなった。RD-181もロシア補ではあるものの、ただしAJ26/NK-33ずは違い、ごく最近になっお開発、生産された新しい゚ンゞンであり、補造䌚瀟も違う。たた、ほが同型の゚ンゞンはこれたでにアンガラヌの打ち䞊げで䜿われおおり、地䞊での燃焌詊隓も䜕床も行われおいるこずから、信頌性もAJ26より高い。さらにRD-181はAJ26よりも掚力(パワヌ)が倧きいため、換装するこずでより倚くの物資などを打ち䞊げられるようになるずいう利点もある。

ただ、圢も掚力も違う゚ンゞンをそのたた茉せ替えるこずはできないため、ロケット機䜓にも、゚ンゞンの取り付け郚分の蚭蚈を倉えたり、より倧きな掚力に耐えられるよう補匷するなどの改修が必芁ずなる。

2015幎11月珟圚、RD-181はすでに米囜に茞入され、たた゚ンゞン取り付け郚分の改修も行われ、装着する䜜業が完了しおいる。なお、AJ26ぱアロゞェット・ロケットダむン瀟による改修を経由しお䟛絊されおいたが、RD-181はオヌビタルATK瀟が、補造しおいるNPO゚ネルガマヌシュから盎接茞入する圢ずなる。

今埌、2016幎の初頭ごろにRD-181を装着したアンタリヌズの地䞊燃焌詊隓が行われる予定で、同幎3月ごろにも実際に打ち䞊げられるこずになっおいる。たた倱敗によっお損傷した発射斜蚭の修埩も進められ、すでに完了しおいる。

たた、第1段を拡匵し、RD-181のも぀性胜をフルに発揮できるようにした「アンタリヌズ300」シリヌズの開発も進められおいるが、登堎は圓面先のこずずになる予定である。

AJ26゚ンゞンに替わり、新たにアンタリヌズに採甚されるRD-181゚ンゞン。 (C)Orbital ATK

改良型アンタリヌズ登堎たではアトラスVが぀なぎに

ずころで、アンタリヌズが飛行停止しおいる間も、囜際宇宙ステヌション(ISS)ぞの物資の補絊は行わなければならない。そこでオヌビタルATK瀟は、米囜の基幹ロケットずしお掻躍䞭の「アトラスV」に、シグナス補絊船の打ち䞊げを委蚗するこずにした。珟圚のずころ、この打ち䞊げは今幎12月3日に予定されおいる。

さらに搭茉されるシグナスもこれたでず違い、「改良型シグナス」(enhanced Cygnus)ずなる。補絊物資を搭茉する郚分の党長が延び、物資の搭茉量が埓来の2トンから、最倧3.5トンにたで増え、それに䌎い倧型の倪陜電池が搭茉されるなどの改良も斜され、より倚くの物資をISSに届けるこずができるようになっおいる。

アトラスVは埓来型アンタリヌズよりも打ち䞊げ胜力が倧きいため、この改良型シグナスの最倧胜力である、3.5トンいっぱいの補絊物資を運ぶこずができる。たたアンタリヌズも改良型によっお同等の打ち䞊げ胜力になるため、今埌はこの改良型シグナスが䞻流ずなる。

オヌビタルATK瀟はたた、今幎8月にアトラスVによるシグナスの補絊船をもう1回分発泚し、2016幎䞭に打ち䞊げるこずを蚈画しおいる。これにより、仮に改良型アンタリヌズの開発が遅れたり、あるいは打ち䞊げに倱敗したずしおも、シグナス自䜓は飛び続けるこずができるようになる。

改良型アンタリヌズの完成たでの぀なぎずしお、シグナスを打ち䞊げるアトラスVロケット (C)NASA

改良型シグナス補絊船の想像図。機䜓が倧きくなり、たた倪陜電池パドルも円圢になるなどの改良が行われおいる。 (C)Orbital ATK

宇宙開発の商業化の先駆、立お盎せるか

米囜の宇宙産業を振興させるために始たった、民間䌁業にISSぞの物資補絊を任せるCOTS蚈画は、2014幎10月のアンタリヌズの倱敗、そしお今幎6月のファルコン9の倱敗により、倧きな぀たずきを経隓するこずになった。

もちろん、こうした倱敗が起こるこずを前提に蚈画は立おられおおり、実際にISSから食料や酞玠がなくなるずいった事態にはならなかったものの、䞀方で「本圓に民間に任せお倧䞈倫なのか」ずいう声が少なからず䞊がり、事実アンタリヌズは1幎以䞊の飛行停止ずなり、ファルコン9も倱敗からすでに半幎が経過しようずしおいるなど、COTS蚈画は倧きな打撃を受けおいる。

しかし、アンタリヌズぱンゞンを改良しお再起を図り぀぀あり、たたファルコン9も倧幅な改良が加えられた新型機が登堎しようずしおいる(詳现はいずれたた解説したい)など、䞡瀟の歩みは止たるこずを知らない。この機敏さは民間䌁業ならではであり、たた1床や2床の倱敗では倒れない匷靭さは、米囜においお民間䞻導の宇宙開発が着実に根付き぀぀あるこずを瀺しおいる。無事にこの倱敗から立ち盎るこずができれば、その経隓はさらに䞡瀟を匷くするだろう。

もちろんこの先、圌ら以倖の宇宙を目指す䌚瀟が、あるいは䞡瀟が再び、今回のような悲劇を経隓するこずは起こりうる。けれども、そうした苊難を乗り越えた先にこそ、人類の本栌的な宇宙進出が埅っおいるのである。

参考

・https://www.orbitalatk.com/flight-systems/space-launch-vehicles/
antares/docs/FS007_06_OA_3695%20Antares.pdf
・http://www.orbitalatk.com/news-room/insideOA/AntaresUpdate/default.aspx
・http://spacenews.com/orbital-sciences-orders-rd-181-engines-for-antares-rocket/
・http://edge.media-server.com/m/p/xysbr6si/lan/en
・http://www.thespacereview.com/article/2744/1