半導体市場調査企業である米IC Insightsは8月27日(米国時間)、専業ファウンドリの売り上げが2015年第4四半期(10~12月期)に120億ドルを越え史上最高額を記録しそうだとの予測を発表した(図1)。専業ファウンドリとは、自社ブランドの半導体製品をまったく手掛けない半導体製造受託企業(台湾TSMC、UMC、中国SMIC、米国GLOBALFOUNDRIESなど)で、ファウンドリを兼業するIDM(垂直統合型半導体メーカーである韓国のSamsung ElectronicsやMagnaChipなど)は含まない。
ファウンドリの売り上げは季節変動があり、2014年までは、第2四半期の成長率がその年一番の2桁あるいは2桁に近い成長率を示し、その後、第4四半期に向けて成長率は減少していく傾向にある。ファウンドリ専業は生産品のほとんどすべて(98%)をIDMやファブレスへ納入し、これらの企業は、ファウンドリから納入された製品を再販するので、世界市場全体の売上高成長率のピークが第3四半期であるのに比べ、ファウンドリ専業の売上高成長率のピ―クが四半期(3カ月)前倒しになるのは理にかなう。
これに対して、2015年は、例年と異なり第2四半期に売り上げが2%減少してしまっている。この主たる原因は、中国や新興国でのスマートフォンビジネスの不振でTSMCの同期の売り上げが前期比5%低下したことによる。この減少額は3.7億ドルである。
IC Insightsは2015年第4四半期のファウンドリ専業の売上高の伸びは4%かそれ以上になるとみている。今年前半のファウンドリ売り上げを抑える原因となった、顧客である半導体企業の在庫調整が第3四半期末(9月)までには終わり、第4四半期は史上最高額を記録すると同社は予測している。
著者注:TSMCの第2四半期業績がマイナス成長であったことにより、業界に不安感がひろがり、さらなるマイナス成長を予測するアナリストもいた。これに対して、TSMCのトップである張忠謀 董事長は、去る6月の株主総会で「今年後半の6カ月の業績は前半よりも良くなり、今年も前年比2桁成長する」と主張していた。今回のIC Insightsの予測は、TSMCの6月の主張を強めるものとなっている