帝人グループの帝健は4月9日、京都大学医学部附属病院医療情報企画部と京都高度技術研究所との共同研究で、着用するだけで12誘導心電の迅速かつ適切な計測ができるウェアラブル電極布を開発したと発表した。同技術は急性虚血性心疾患など、緊急措置を要する疾患を素早く把握することで、患者の救命率向上につながることが期待される。
急性虚血性心疾患の患者に対しては、救急搬送する前に12誘導心電という精密な心電計測を迅速に行うことが重要とされる。しかし、12誘導心電は10個の電極を正しい位置に取り付けなければならず、一刻を争う救急現場での実施は困難なため、普及が進んでいない現状がある。
これに対し、今回開発された電極布には10個の電極のうち8個が配置されており、正中線および腋の下に合わせて胸の周りに巻くことで迅速かつ簡単・適切に12誘導心電を計測することができる。電極が配置されている布は電気回路を持っており、連続した1本の緯糸(よこいと)で模様を作り出す西陣織の技法を用いて作製されている。同技法を使うことで、1本の導電糸を電極・導線とした高品質な心電計測布を工業的かつ安定的に生産することが可能となるという。
帝健は2015年内に救急搬送時用に心電計測ウェアラブル計測布を商品化するとしている。