アルマ望遠鏡は9月24日、アンテナを7kmの範囲に展開した干渉計試験に成功したと発表した。

アルマ望遠鏡とは、国立天文台や米国国立電波天文台などによる国際共同プロジェクトとして、チリのアタカマ砂漠の高地に設置された、パラボラアンテナ66台を組み合わせた干渉計方式の巨大電波望遠鏡。すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡の約10倍の分解能をもつ。

アルマ望遠鏡山頂施設(標高5000m)の現在の様子。中央に小さく見えるのがアンテナ群の中心付近。(C)ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/ Sergio Otarola

電波干渉計では、アンテナの間隔を離せば離すほど解像度が向上する。アルマ望遠鏡は2011年から観測を行っているが、その中で使われているアンテナの展開範囲は最大1.5kmにとどまっていた。今回の試験観測はより広い範囲に展開したアンテナがひとつの望遠鏡として機能するかどうかを確認するために行われた。

同試験で天体画像は取得されていないが、同プロジェクトの一員であるキャサリン・ヴラハキス氏は「天体画像取得のための試験観測が始まれば、これまで以上に高い解像度を実現し、すばらしい観測成果を届けてくれるでしょう」とコメント。将来的には最大11km程度のアンテナ間隔での観測を目指すという。

アルマ望遠鏡のアンテナ展開範囲の北端に設置されたアンテナ (C)ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), E. Ormeño