年内のサンプル出荷開始を目指す次世代技術「MEMS-IGZO」とは?

シャープは9月12日、MEMS-IGZOディスプレイに関する技術説明会を開催した。

現在のディスプレイの競争軸は、高精細や狭額縁、低消費電力だが、高精細や狭額縁はいずれ限界を迎え、飽和することも考えられる。このような中、シャープが新たな競争軸になると考えているのが、デザイン性能、耐環境性能、ユーザーインタフェースに特徴のある製品である。今回、その中から、屋外視認性、および低温度環境下での表示性能に優れるなど、耐環境性能を有したMEMS-IGZOディスプレイを発表した。年内にサンプル出荷を開始し、2017年の量産開始を目指すとしている。

7型WXGA(1280×800画素、217ppi)対応のMEMS-IGZOディスプレイ

今回のMEMS-IGZOディスプレイは、シャープのIGZO-TFT技術とディスプレイ製造技術、および米Qualcommの子会社PixtronixのMEMSシャッターの基礎技術を融合させたものである。同ディスプレイは、RGB3色LEDが順次点灯するバックライトを搭載し、その点灯タイミングに合わせてMEMSシャッターを駆動させるフィールドシーケンシャル方式により、映像を表示する。シャッターは100μsの速度で駆動する。カラーフィルタがないため、必要な輝度を低消費電力で得ることが可能である。

さらに、MEMS駆動用TFTにはIGZO-TFTが採用されている。現在、量産中のTFT技術は3種類あるが、このうち、TVなどの大型パネルで用いられているa-Si TFTは、MEMSシャッターを動かすには電子移動度が0.1~1cm2/Vsと低く不足している。また、低温poly-Si(LTPS)-TFTは電子移動度が高いのが特徴だが、パネルの大型化が困難、マスク枚数が多く製造コストが高いといった面がある。これに対し、IGZO-TFTは、a-Si TFTより10倍高い移動度、大型化に対応可能、リーク電流が発生しにくく低消費電力、LTPS-TFTより少ないマスク枚数で製造できるといった特徴を有している。

MEMS-IGZOディスプレイの動作原理