第6回のテーマは「色校」など、入稿の際に使う複数の用語

どんな業界でも、「業界用語」というものは存在する。業界の外の人からすると、何を言っているのかわからないことが多いものだが、一度覚えるとこれがなかなか(いろんな意味で)便利なので、ぜひ使いこなしたいものだ。この「クリエイティブ語講座」では、主にクリエイター界隈で使われている"クリエイティブ用語"を、デザイナーである筆者が例を交えながら解説していく。

今回は、データを納品するときや印刷所とのやり取りに使われる用語についてである。作業も大詰め、疲労もMAXのタイミングだが気を抜かずに取り組もう!

今回の例文


<入稿編>
(代理:広告代理店/クリ:クリエイター)

(数十回におよぶ修正ののち)
代理「…OKです!では色校だしますので入稿データをおねがいします」
クリ「わかりました!」

(後日)
代理「印刷所から色校あがってきました。クライアントから赤字がどっさり入ってて、すみません…対応おねがいできますか?」
クリ「ははは…了解です!(←馴れてる)下版はまだまだ先ですね(笑)」

例文の翻訳


(数十回におよぶ修正ののち)
代理「…OK!やっと入稿できるぜー!」
クリ「やったー!」

(後日)
代理「印刷所から色校あがってきたんだけど、それにクライアントが赤字いれてきたんだよね…だったら入稿前にもっとちゃんとチェックしろっつーの」
クリ「ははは…あるある。この案件まだ相当かかるね」

用語解説

[色校]

色校正とは、色指定した色彩に対し、実際に印刷する紙を使用して色が忠実に反映されているかどうかを確認するための作業。紙の種類によってインクの色味が変化するため、それを確認して修正すること。

最近では校正にも2種類あり、本紙校正とコンセンサス(「コンセ」と呼ばれる/デジタル校正)がある。前者は金額が高いため、コンセで済ませる場合が多い。だが、特に高級紙と呼ばれるマーメイドやアラベール、モデラトーンなど、テクスチャのある紙を使用する場合は色味が沈みやすく、トレーシングペーパーなど半透明の特殊紙は色が薄く表現されるのでそういった紙を使う場合は特に、クレームを避けるためにも本紙校正をおすすめしたい。

[入稿][下版]

「入稿」はデザイナーにとってみれば「印刷会社にデータを渡す」こと。「自分の作業を完了し、次行程へ原稿が入ること」を言う。(印刷会社ならデータを製版現場に渡すことを「入稿」という)。

「下版」は印刷データ(修正が全て完了した完全データ)を印刷会社(製版)へ渡す場合に使う。基本的には「これ以降の修正は一切不可』というニュアンスを込めて使い、以降で修正が出てしまうと「刷り直し」という最悪な結果になるので 下版はくれぐれも慎重に行ってほしい。

本来のプロセスは[デザイン完成]→[入稿]→[色校](色味のチェック)→[下版]という流れだが、最近は[デザイン完成のはず]→[入稿]→[色校](ここでなぜかデザイン最終確認)→[修正]→[再入稿]→[下版]という流れが一般的。色校は印刷前の色味の確認、という概念から「ここで最終チェック&修正」という認識に(クライアント的に)変化してしまっているので、色校だからといってもう終わりだ~と気を抜いてはいけない。

アナログ製版時代、写植やポジ指定をして版下をつくっていた時代のデザイナー(私もほんの一瞬だが経験したことがある)からすると、色校の後に修正が入るなどは考えられない行程だ。しかし、DTP全盛の今、入稿作業は昔と比べてずっと楽になったと思う。

その分、別の手間が増えているような気がしないでもないが…下版の後の達成感はいつの時代でも最高のひと言につきる。その日の深夜に緊急電話がならない限りは……。

ではまた次回!

くすきはいね
コトバ&グラフィックデザイナー。
広告デザインやロゴ、カフェのプロデュースなど、多方面にわたる「デザイン」を手掛ける