第2回のテーマは「若返り」など、データのやりとりに使う複数の用語

どんな業界でも、「業界用語」というものは存在する。業界の外の人からすると、何を言っているのかわからないことが多いものだが、一度覚えるとこれがなかなか(いろんな意味で)便利なので、ぜひ使いこなしたいものだ。この「クリエイティブ語講座」では、主にクリエイター界隈で使われている"クリエイティブ用語"を、デザイナーである筆者が例を交えながら解説していく。

第2回では、データを作成する際に頻繁に使用される複数の単語を挙げていく。短いやりとりにいくつも用語が含まれているのでチェックしてほしい。

今回の例文

<電話でのやりとり>
(営業:営業マン/クリ:クリエイター)

営業:「いただいたデータなんですけど、若返ってましたよ」
クリ:「あっ、すみません。確認しておきます」
営業:「あと、この写真、角アールでおねがいします。この文字はキンアカで。その他の修正は出力に赤字いれてあります」
クリ:「了解しました」

例文の翻訳

<電話でのやりとり>
営業:「いただいたデータ、古いのがはいっていましたよ」
クリ:「あっ、すみません。確認しておきます」
営業:「あと、この写真、角を丸くしてください。この文字は派手に目立たせて。その他は出力に修正指示をいれてあります」
クリ:「了解しました」

用語解説

[若返り]

データが修正前などの古い状態になってしまっていること。デザインの現場では、ビジュアル制作にあたって「やっぱり前のデザインに戻して」という指示が時折発生するため、クリエイターは古いデータをタイミングごとに別名で保存している。しかし、その時に不幸にもなにかの手違いで新しいデータへの上書きなどをしてしまうと、このようなことが起きてしまう。悲劇を避けるためにもファイル名やフォルダはしっかり管理しておこう。

[角アール]

写真や図形などの角を丸くすること。「Rをつける」とも。細かい人だと「角3Rで」など丸さの角度を指定してくる人もいる。基本的には、Illustrator上で元の画像にクリッピングマスクを適用し、角の丸い四角で切り抜いたような状態にして作成する。

[キンアカ]

漢字で書くと「金赤」。JISの色彩規格では「あざやかな黄赤」としている。江戸切子というガラス工芸で赤の色を発色させるために金を使用したところから金赤と言われるようになったそうで、朱色や黄赤より赤みが強く、専門的にいうとマゼンタ(M)100%とイエロー(Y)100%。この赤が目立ちやすいので、ポスターやチラシなどのタイトルで使われることが多く、デザインの現場で制作をしていない人たちに「キンアカ」として認識され、「とにかく派手に目立たせたい」=「キンアカ!」という図式が定着してしまった模様。

[赤字]

修正箇所を指示すること。またはそのもの。「赤字を送る」、「赤字を入れる」というように使用する。もともと、色校正の紙に赤いペンで調整指示を入れていたためこのような表現になった。

おわかりいただけただろうか。このあたりの用語は専門的だが、最低限覚えていないと「できない人」と思われかねない基本用語。しっかり覚えてどんどん使ってみよう!

くすきはいね
コトバ&グラフィックデザイナー。
広告デザインやロゴ、カフェのプロデュースなど、多方面にわたる「デザイン」を手掛ける