富士通は1月22日、 食・農クラウド Akisai(アキサイ、日本語通称:秋彩)」の新たな導入事例として、農業法人である有限会社衞藤産業が運用を開始したと発表した。同法人では、農業生産管理SaaS 生産マネジメントを導入し、日々の作業実績や農薬・肥料・資材といったデータを、PCやモバイル端末から入力し、圃場ごとや品目ごとにかかるコストを把握しているという。
衞藤産業では、品目ごとの生産にかかったコストを見える化し、肥料や販売価格の見直しを行うことで、導入前と比較して肥料コストを約30%削減したほか、単位面積あたり約1.3倍の売上高を実現する見込みだという。
「Akisai」は2012年7月に発表し、同年11月より提供開始、現在160社で利用されているという(有償が92社、トライアル・実証利用が68社)。
富士通 統合商品戦略本部長 阪井洋之氏は、「これまでトライアルで利用してきた事業者も、2014年から本格展開するので、今後はどんどん加速してサービスの拡大をはかってきたい」と語った。
今年度の売り上げ見積もりは10億円程度だが、同社では2015年度までに累計150億円の売り上げを目指している。
今後の事業強化に向けた取り組みとしては、これまで匠の技であった安定収量や高品質化を実現する最適な栽培暦をビッグデータによって導き出すサービス「栽培計画の最適化支援」、日々の作業記録をスマートフォンに入力し分析することで農業経営を改善する小規模農家向けエントリー版「農業生産管理SaaS 生産マネジメントライト」、農業法人や食品製造業などの6次産業向けに仕入・加工から販売業務までを管理する「農産加工販売SaaS」、同社の会計システムを農業用勘定科目に対応させ、経営管理を実現する「農業会計SaaS powered by GLOVIA smart きらら」の4つを今月より順次提供し、サービスを拡充する予定だ。
富士通 イノベーションソリューション事業本部 ソーシャルクラウドサービス統括部 シニアディレクター 山崎富弘氏は、他社のサービスとの違いについて、他社さんの場合は、ピンポイントでやっているが、Akisaiの場合は農業すべてをカバーするという広範囲に及んでいる点、農作業も実際にやりながらつくりあげているため、現場の声が反映されている点、農業の経営していくための視点でデータのアウトプットを提供している点などを挙げた。
同社は今後、生産情報を加工業者、流通、消費者まで届けられるよう、フードチェーン全体での連携利用によりデータの高度活用を行っていくという。