実証実験のために用いられるスペシャルセグウェイ

もう1つ、モビリティ系を紹介。決して新しいものではないのだが、名付けて「セグウェイ AIST SP(産総研スペシャル)」(画像6)。名前は、筆者がその場でスマートモビリティ研究グループの松本治グループ長(総括研究主幹兼任)に許可を半ば無理矢理いただいたもので、産総研で名付けられたわけではない点を留意しておいていただければと思う。開発は、知能システム研究部門 スマートモビリティ研究グループ/フィールドロボティクス研究グループ/スマートコミュニケーション研究グループによるものだ。

画像6。セグウェイ AIST SP。バッグの中にはGPS系の機器が入っている。実証実験用の特別改造仕様だ

セグウェイ AIST SPは、文字通り、セグウェイの産総研特別仕様だ。何に使われているのかというと、つくば市がモビリティロボット特区を舞台にした、その最新の実証実験である「モビリティロボットシェアリング」において、産総研とつくばエクスプレスのつくば駅の間を産総研の職員が往復するのに実際に使ってみるというものである。

そのため、セグウェイにデータやマップなどの表示をする液晶モニタ(画像7)やカメラ(画像8)、GPSなどを後付けし、産総研の建物内とつくば駅のすぐ近くにある交番の裏手に設けられた充電ボックス(画像9・10)で充電できるよう充電器周りも少し改良されている(画像11)。

画像7。液晶モニタ

画像8。カメラ

画像9(左):産総研の建物内にある4つ並んだ充電ボックス。 画像10(中):つくば駅近くの交番裏手にあるL字型に並んだ充電ボックス。 画像11(右):改良された充電用プラグの差し込み口

片道20分ほどかかるそうで、ルートは途中1カ所だけ横断歩道を渡る形だが、基本はつくばに特有の大通り上は立体交差で通過できる専用歩道(「つくばチャレンジ」でもその一部がコースとして使われている)を通るので、走りやすいといえば走りやすいらしい。ただし、1回の充電で往復は無理なので、産総研とつくば駅そば(交番裏手の公園入り口)の両方に充電ボックスが4つずつ備えられており、乗り終わった後はそこに入れて充電しておく(画像12・13)、という決まりになっている。

画像12(左):充電ボックスに収められたセグウェイ AIST SP。 画像13(右):充電プラグにケーブルが差し込まれて充電中

ちなみに、立ち乗り型では車輪径がぐっと小さく、もともと屋内用途を想定していたトヨタ自動車のWingletも、若干タイヤ径を大きくするなど、屋外での使用も想定した改良が行われ、産総研~つくば駅間を走ったそうだが、バッテリがギリギリで、下手すると持たないぐらいだそうで、やはり小型なので屋外での長距離の使用は難しそうである。