Texas Instruments(TI)は、電球、ダウンライト、据え付け照明器具用LEDのオフライン・リニア駆動回路簡素化技術「フローティング・スイッチ・アーキテクチャ」を開発、それを適用したLEDドライバの新製品「TPS92411」を開発したことを発表した。

現在、LED照明のスイッチング・モード電源(SMPS)トポロジーには、一般的にフライバック、降圧、昇圧型コンバータが使われているが、こうした従来方式は動作周波数が高く、一次側のAC電流を、LED駆動に必要なDC定電流に変換するためには、さまざまな誘導部品が必要となり。多くの場合、高価なカスタム部品が用いられるほか、SMPS回路によるほかの電子製品への悪影響を防止するために、4~10個の受動部品で構成される電磁妨害(EMI)フィルタが必要だったり、位相調光が必要な場合、調光器との互換性の最適化とLED照明のちらつき防止のために、設計を数度にわたって繰り返す必要なども生じていた。

同アーキテクチャは、こうした問題を解消することを目指して開発されたもので、電力伝送のための誘導部品を不要にし、コストと体積の低減と同時に設計の簡素化を実現することを可能にするという。

同製品は、電流容量350mA、100V、2ΩのフローティングMOSFETスイッチを内蔵しているほか、LED駆動性能は、従来のフライバック、降圧、昇圧型コンバータと同レベル(力率0.95以上、全高調波歪み(THD)15%未満、LED電流リップルが低く、タップ付きリニア・ドライバ製品に比べLEDの利用効率を向上できる)。また、低周波のスルーレート制御スイッチ動作により、低EMIノイズを実現しているほか、TRIAC型や逆位相方式の壁面調光器との優れた互換性を確保。さらにフローティング・スイッチ・アーキテクチャにより、従来のコンバータで必要だった誘導部品を省略しつつ、最大70Wの照明機器をサポートすることが可能となっている。

なお、同製品はすでに量産出荷を開始しており、5ピンSOT-23パッケージを採用し、1000個受注時の単価(参考価格)は0.23ドルとなっている。

「フローティング・スイッチ・アーキテクチャ」を適用したLEDドライバ「TPS92411」の概要