災害時などで活用が期待される無人飛行ロボット
10月12日・13日の2日間にわたり、日本航空宇宙学会の主催による「第9回全国学生室内飛行ロボットコンテスト」(飛行ロボコン)が、普段は戦後初の国産旅客機「YS-11」が保管されている羽田空港最古の格納庫「T101ハンガー」(画像1・2)で実施された(共済はそのYS-11(画像3・4)を保管している国立科学博物館など)。その模様をお届けする。
画像1(左):T101ハンガー。羽田空港最古のハンガーだけあって屋根などがかなり年期を感じさせる。 画像2(右):T101ハンガーの空港敷地内に面した大型スライドドア側。右側には、画像4の6枚羽根仕様のYS-11が駐機している |
飛行ロボットというと、アニメの空を飛べる人型ロボットを想像してしまうかも知れないが、今回の飛行ロボットは、無人飛行機やUAV(Unmanned Aerial Vehicle)などと呼ばれる、遠隔操縦で飛行させる、もしくは自動操縦で飛行するようなロボット機能を搭載した飛行機である。
UAVというと、プレデターやグローバルホークなど、米軍の無人偵察機や無人攻撃機などをイメージする方も多いかも知れない。しかしそれは間違いで、戦場やそれに準ずる危険地帯において、軍事的もしくはそれに準じた使い方をされるばかりがUAVではないのだ。例えば、東日本大震災や阪神・淡路大震災などのような大規模災害において、被災地の状況を空中から情報収集するといった利用方法もある。
ちなみに大規模災害における情報収集でなぜUAVがに向いているのかというのは、東日本大震災などを思い出してもらえればわかるかと思うが、地形が変わったり建物が倒壊したりする規模の大規模な地震が起きると、道路が寸断されてしまう可能性が高いため、車両だと移動すらままならないのである。それに対し、UAVなら地上の状況の影響は当然ながら受けないので、上空から心置きなく情報収集できるというわけである(そのほか、有人機に比べてコストがかからない、離発着にスペースを取らないなどメリットがある)。
そして飛行ロボコンの飛行ロボットたちも、かなり小型・簡素化された条件の下に製作されてはいるが、UAVの1種といっていい。レギュレーション上、機体の重量制限がとてつもなく厳しく、センサをいくつも搭載するのは無理なため、手動部門の機体などはかなりラジコン飛行機に近いのも事実ではあるが、今年から設けられた「自動制御部門」(今年は手動操縦部門と自動制御部門の2部門となった)の飛行ロボットたちはいくつかの飛行を自動制御で行えるなど、UAVらしくなっている。さすがに離陸から着陸まですべての飛行を全自動で行えることはないのだが、よりロボット化が進んだのが今年の飛行ロボコンなのだ。