新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は8月21日、インドネシア工業省との共同プロジェクトとして、インドネシア東ジャワ州の製糖工場に設置したバイオエタノール製造プラントが完成し、実証運転を開始したことを発表した。
経済成長が続くインドネシアでは、石油輸入が輸出を上回る状況が続いており、同国政府も2025年までにエネルギー消費量の5%をバイオ燃料で賄う方針を打ち出し、実現に向けた取り組みとして、砂糖の増産などを進めている。また、2013年6月からはガソリンに対して行っていた政府補助金が削減されたことを受け、その価格が40%以上高騰し、バイオエタノール導入の課題の1つとなっていた価格差が縮まってきており、バイオエタノール導入に対するしきいが下がってきているという。
そうした市場環境の変化を受ける形で今回、日本政府とインドネシア政府が共同事業として実証事業を実施する契約を締結。インドネシアの東ジャワ州にあるPTPN-Xが保有する製糖工場に、日本の発酵技術を応用したバイオエタノール製造プラントを設置し、製糖の際に副産物としてでてくるモラセス(廃糖蜜)を原料にしたバイオエタノール製造技術の実証が行われることとなった。
具体的には、運転のしやすさと効率の両立を目指し、日本で開発された凝集性酵母を用いた繰返し回分発酵法を用いてバイオエタノールを製造し、それをガソリンと混合する形で自動車用燃料として提供する予定だとのことで、NEDOでは、今回の技術提供の普及により、インドネシアにおける石油輸入量の低減、砂糖産業の経営の多角化・安定化、日本企業によるバイオエタノール製造設備などの輸出機会の創出といった効果が期待されると説明している。
なお、総事業費は約23億円(NEDO負担分は約15億円)で、バイオエタノールの設備容量は年産3万kl、日本側の企業としては月島機械とサッポロエンジニアリングが委託先として参加することが決まっている。