ホクトは12月19日、富山大学 大学院医学薬学研究部の安東嗣修 准教授との共同研究により、熱処理エリンギが細菌内毒素により肺炎を起こしたマウスの炎症を抑える効果があることを確認したと発表した。同成果の詳細は、12月15-16日にかけて開催された「日本機能性食品医用学会 第10回大会」にて発表された。

今回の実験手法は、細胞実験として、マウス肺胞マクロファージ細胞を用いて、エリンギ熱抽出物の抗炎症効果の検討を実施したというもので、細胞の培養培地にエリンギ熱抽出物を添加し、LPS刺激後のiNOS(誘導型一酸化窒素合成酵素)の発現を調べた。

また、動物実験として、LPS誘発肺炎マウスモデルを作成し、熱処理エリンギ摂取による抗炎症効果の検討を実施。熱処理エリンギを経口投与し、LPS経鼻接種後のマウスの気管支肺胞洗浄液中の細胞数、気管支肺胞洗浄液中のタンパク量、気管支肺胞洗浄液中の一酸化窒素(NO)量の測定を行った。

細胞実験の結果、エリンギ熱抽出物はマウス肺胞マクロファージ細胞のLPS刺激後のiNOS mRNA発現を抑制することが確認された。また、動物実験より、LPS誘発肺炎マウスモデルの熱処理エリンギ経口投与群では、LPS経鼻接種後の気管支肺胞洗浄液中の細胞数、気管支肺胞洗浄液中のタンパク量、気管支肺胞洗浄液中の一酸化窒素(NO)量のすべての肺炎症マーカーの値が抑制されたことが確認された。

研究グループは、今回の結果を受けて、エリンギが細菌感染による肺炎の予防効果を持つ可能性が示唆されたほか、エリンギがインフルエンザ感染時の症状を軽減させる効果を持つことが期待できると考えられるとコメントしている。

肺炎マウスモデルを使った実験各種の結果。エリンギの経口前投与により、LPS誘発肺炎マウスモデルの肺での炎症が抑えられることが確認された