Micron Technologyと更生会社であるエルピーダメモリおよびその子会社の秋田エルピーダメモリの管財人は7月2日、Micronがエルピーダの取得ならびに支援を目的とするスポンサー契約に調印したことを発表した。

今後、同契約にしたがい総額2000億円の支援金を前提に、一定の手続費用などを控除して、更生担保権者・更生債権者への支払いが行われることになる。具体的には、スポンサー契約の実行時に、Micronは600億円の現金をもって、エルピーダへの100%出資を行い、その後、エルピーダは、Micron子会社としてMicron向けファウンドリ事業などを通じて、2019年までに1400億円のキャッシュフローを得る予定で、それを原資として更生計画に基づく債権者への弁済を行う計画。これ以外のエルピーダに対する更生債権の支払い義務は、更生手続に基づき免除されることとなる。

また、Micronは、同契約において、一定の条件のもと、契約締結直後から、エルピーダの設備投資資金に対して支援を行うこと、ならびにエルピーダの生産と従業員を維持することに合意しているほか、同契約に関連し、MicronとPowerchip Technologyによる別途合意により、Powerchipが保有するRexchip Electronicsの株式(約24%)も取得する予定。

エルピーダの資産には、300mmウェハ対応の広島工場のほか、300mmウェハ対応工場を保有するRexchipの株式約65%、そして秋田エルピーダの後工程事業を中心とする資産が含まれており、これによりMicronはRexchipの発行済み株式の約89%を保有することになり、エルピーダとRexchipの2工場合計で月産20万枚以上の処理能力を得ることとなる。これはDRAM、NAND、NORを合わせた現在のMicronの生産能力を50%増強することになるという。

なお、今回の契約の実行までには、債権者ならびに東京地裁、そして各国の競争当局による承認などを含む一定の条件の充足が必要となる。エルピーダの更生計画案は2012年8月に東京地裁へ提出される計画であり、同契約はこれらの手続を経た後、2013年前半の実行が見込まれている。また、Micronは、Powerchip所有のRexchip株式も同契約の実行時に取得する予定としている。